サイバーメディアセンターの第二段階(下條 真司)
第3代 サイバーメディアセンター長
下條 真司
第3代 サイバーメディアセンター長 下條 真司

サイバーメディアセンターは、今後予想される情報通信関連分野の急速な発展を考え、全学的に関連分野の教育研究を総合的な立場から世界的にもリードし、さらに、21世紀における高度情報化社会における大阪大学の将来ビジョンの先導的な役割を推進するため、全学的な協力の元2000年4月に設立されました。

設立後5年を経て、西尾、岸野歴代センター長のご努力により、本センターはめまぐるしく発展して参りました。なにより2002年10月に豊中新棟が完成し、より充実し情報処理教育環境が提供でき、7つの研究部門のうち5つが一つの建物内で研究が行えるようになりました。

本センターの活動は大きく2つに分けることができます。一つはスーパーコンピュータ、情報教育システム、ネットワークなどの学術教育研究基盤サービスやノウハウを安定して学内外に提供し続けること。もう一つは、最先端の学術教育研究基盤サービスを提供するための研究開発とこれによって加速される様々な融合科学を支援する研究機関としての活動です。

学術教育研究基盤サービスとしては、従来のスーパーコンピューティングサービスに加え、これまでのLINUXによる情報教育システムの提供に加えて、設立当初よりCALL( Computer Assisted Language Learning )による言語教育のためのプラットフォームの提供を開始し、今や共通教育で行われる外国語教育の約1/3がCALLシステムを用いて行われています。LINUXによる情報教育システムは2005年度に新たなシステムに更新し、ディスクレス端末による安全で柔軟なシステムになっています。現在は、授業における教官と生徒のコミュニケーションを助けるCourse Management Systemの普及・啓蒙に努めています。学内のネットワーク基盤であるODINSでは全学ファイアウォールの設定を強化することで、より安全な通信が行えるようにし、一部の部局と協力しながらサーバーの監査も行っています。

研究面では、理学研究科、工学研究科、情報科学研究科、言語文化研究科の協力講座として様々な研究に取り組むとともに、情報通信技術による融合科学の推進に力を入れています。ことに、最近はグリッドと呼ばれる科学に関連する観測装置、計算機、蓄積装置を有機的に結合するミドルウェアの研究開発と普及に取り組んでいます。これをきっかけとしてライフサイエンスとの融合研究であるバイオグリッドプロジェクトを手始めとして様々な分野との融合科学を推進して参ります。

国立大学の法人化によって、大学における様々な業務の効率化が大きな課題となっており、情報システムの導入により、それを推進することがサイバーメディアセンターにも期待されております。事務部や他部局の先生方の協力を得ながら、学務情報システムや全学IT認証基盤システムの導入を行っているのは、まさにそのような現れです。一方で、法人化後の大学間競争が、研究の個別化につながりかねないとの危惧があり、より広範囲な研究の協調が求められています。本センターの行っている学術教育研究基盤サービスは、このような面でも十分皆様方の役に立つと信じております。今後とも、皆様のご指導とご支援をよろしくお願いします。