バイオグリッド・プロジェクト 2003年度報告


秋山 豊和(大阪大学サイバーメディアセンター 応用情報システム研究部門)
伊達 進(大阪大学大学院情報科学研究科 バイオ情報工学専攻)
蟻川 浩(奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科)

1. 概要

 バイオグリッド・プロジェクトは文部科学省のITプログラム「スーパー コンピュータネットワークの構築」として2002年から5ヵ年計画で始まったプロジェクトである。グリッドコンピューティング技術と超高速ネットワーク技術を使い大学やバイオ系研究機関の持つスーパーコンピュータやデータベース、高性能観測装置等の研究資源をつなぎ、研究者がそれらを共有できるセキュアで高性能なグリッド基盤環境を構築することを目標としており、そのための要素技術であるグリッド基盤技術、コンピューティンググリッド技術、データグリッド技術、データオンライン解析技術の研究開発に取り組んでいる。

2. プロジェクトのねらい

 生命科学や医学・創薬の分野では、ヒトゲノム(人間の全遺伝情報)の解読作業が、技術革新とコンピュータの活用によって予定より早く2003年4月に終了することになり、次の研究の焦点は蛋白質の構造・機能解析等のポストゲノム研究へと移ってきている。これらの解析研究には多様な情報・データの高速な処理が必要であり、超スーパーコンピュータ並みのコンピュータパワーが必要といわれている。また、ゲノム医療・ゲノム創薬の要求の高まりから、ゲノムから始まり、細胞、器官、臓器を経て個体のレベルに至る幅広い範囲のデータが必要とされている。それとともに,毎年のように新たなデータベースが構築されており、現在約500個近くのデータベースが存在すると言われている。これらを一ヶ所で維持管理するのは早晩不可能になると予想されており、各データベースを連携させ統合的に扱える情報処理環境が必要とされるなど、ゲノム創薬や再生医療等の新しい分野も含めてIT活用が不可欠になっている。
 一方、グリッドとは “グリッドコンピューティング”、すなわち、コンピュータを電力と同じようにネットワークを通じてどこからでも使えるようにしようという発想から生まれた。もともとは、米国や欧州のスーパーコンピュータセンターや国立研究所を中心にそれぞれが持つ巨大なスーパーコンピュータを高速ネットワークで相互に連携させ、単体ではできない巨大な仕事をさせようという目的でこれを支援するソフトウェアを開発してきたものが原点になっている。グリッドはまさに生命科学が必要とするITを提供しようとするものである。
 このような状況を受けて、大阪大学およびその周辺の関連研究機関が世界的にリードしている医学、生物分野に特化したIT応用研究を推進するため、高度な計算機資源とネットワーク資源が集約されているサイバーメディアセンターを核として、ITの当該分野における応用技術の集約を行い、また、広く国立研究機関や民間企業・研究機関等との共同研究を通じ、競争の激しい当該分野においてスピードの速い技術開発を行うとともに、開発された応用技術のビジネス化を含めた展開を行っていくような新しい研究開発システムを構築しようとする構想が「バイオグリッド・プロジェクト」である。2002年度より、ITプログラムの中の「スーパーコンピュータネットワークの構築」としてプロジェクトがスタートすることになった。



















                      図1:バイオグリッド・プロジェクト


 具体的には、医学・生物分野に特化したアプリケーションが必要とする共通基盤をグリッド・ミドルウェアとして開発し、フリーウェアまたはベンチャービジネスを通じた事業化などにより、アプリケーションとともに世界中の研究コミュニティに提供することを目的としている。また、わが国の当該研究開発における弱点である研究成果の利用促進、産学官連携強化によるネットワーク化の推進、さらにこのような新しい研究のための人材育成および優秀な人材の拡充を早急に行っていくことも狙っている。
 グリッド技術はこれまで巨大なスーパーコンピュータやクラスタを用いた大規模分散計算を中心に研究開発が行われてきたため、高性能科学技術計算のための技術と見られがちである。しかし、それは単にコンピューティンググリッド技術といわれる側面のみを見ているに過ぎない。医療・バイオ分野においても生体内蛋白質の分子、原子レベルのシミュレーションなど巨大な計算パワーを必要とする応用が多数存在している。一方、巨大な加速器や電波望遠鏡などの観測データなどの大規模データを高速ネットワークを介して安全に共有する技術はデータグリッド技術と呼ばれる。医療・バイオ分野においては、ゲノム、蛋白質、化合物などさまざまな大量のデータが存在し、この大量データの検索や処理などデータグリッド技術に関連するものが存在する。さらに、医療・バイオ分野において重要なのは、むしろ大量データを検索したり、検索結果に基づいてシミュレーションや分析を行ったりとデータグリッドとコンピューティンググリッドを融合される技術が求められており、バイオグリッド・プロジェクトの中ではこのような両技術の融合を目標としている。
 プロジェクトの中では、図1に示すような5つのサブグループが、研究開発を進めている。

3. 本年度の活動内容

 バイオグリッド・プロジェクトでは、プロジェクト主催の研究会を開催している(表1)。本年度はBiogrid Symposiumをグリッド協議会主催のAsia Grid Symposiumと共催し、Grid Symposium in Kansai 2003として開催した。

表1:2003年度バイオグリッド・プロジェクト主催の研究会およびシンポジウム

4月19日 第3回バイオグリッド創薬研究会
4月26日-27日 バイオグリッド成果報告合宿
6月21日 第11回バイオグリッド研究会
9月6日-7日 バイオグリッド成果報告合宿
9月20日 創薬研究会 デモ
10月18日 第12回バイオグリッド研究会
12月8日-9日 Grid Symposium in Kansai 2003

 また、11月15日から21日に開催されたSC2003において、各サブグループが本年度の成果のデモンストレーションを行った。以下SC2003における活動内容について紹介する。

3.1. SC2003に関する報告

 バイオグリッド・プロジェクトでは、2003年11月15日から21日の7日間にPhoenix Civic Plaza Convention Center (米国アリゾナ州フェニックス市)で開催されたSC2003 (Supercomputing 2003)の研究展示会場での成果報告会をそのマイルストーンと定め、成果報告にむけた研究開発を積極的に推進してきた。マイルストーンとして定められたこのイベントは、ハイパフォーマンスコンピューティングおよびネットワーキングに関する最先端技術に関する国際会議および研究展示会からなるものであり、毎年11月に米国の主要都市で開催される。2003年度におけるこのイベント(SC2003)には、これらの技術に関する研究開発に従事する研究者や技術者が“Igniting Innovation”のキーワードのもと世界各国から集まり、参加者間の意見交換・議論が活発に展開される結果となった。そのことは、SC2003での参加者総数が2002年度より300名以上増の7641名となり、また展示の研究機関・企業ブースは219であったことからもその盛況振りがうかがえる。
 本プロジェクトにおいても、その例外となることなく、“Innovationをigniteする”プロジェクト成果をひろく世界各国の研究者や技術者に紹介するとともに交流を深めることを目的とした研究展示をSC会場にて行っており、その結果本プロジェクトの存在感を強く、国内外の研究者らに示すことに成功したとわれわれは自負している。本プロジェクトはサイバーメディアセンターを中核として勧められるプロジェクトであるがために、その成果発表がサイバーメディアセンターの出展ブース内で行われたことに注意されたい。サイバーメディアセンターでは、2000年度ダラス(米国テキサス州)を皮切りに、SCでの研究展示を本センターの国際成果報告会の場として定め、研究成果出展を行っている。本年度のSCでの研究展示は4度目となる。
 展示期間中ブース内バイオグリッド・プロジェクト区画では、プロジェクト概要、およびプロジェクトを構成するCore Grid(グリッド基盤)グループ、Data Gridグループ、Computing Gridグループ、HTCグループ、Telescienceグループ、の研究開発成果について、われわれは報告した。本プロジェクトがSC2003に出展した最大の意義は、世界中から情報科学分野の研究者・開発者が集まり最新の技術開発について発表・議論される機会を利用することにより本プロジェクトの研究開発内容とその成果を積極的に外部へ発表し、また研究者・技術者間の交流により議論を重ねられることにあると考えられる。また、それらを通じて得られた知見が更なる研究開発の発展へ繋がるところにもその有意義性を説明できる。
 本報告ではバイオグリッド・プロジェクト各サブグループ(Core Grid, Data Grid, Computing Grid, HTC, Telescience)のSC2003における展示・発表内容の紹介を行う。

SPring-8(www.spring8.or.jp)は世界最高性能の放射光を発生することができる大型の実験施設であり、国内外の研究者に広く開かれた共同利用施設として、さまざまな分野に利用されている。特に生命科学の分野ではここから発生するX線を用いた蛋白質の構造解析に用いることができる。

3.1.1. グリッド基盤グループ

 グリッド基盤グループでは、実際の利用者であるバイオ研究者らのニーズを的確にとらえ、それらのニーズを満たすことのできる真に有用な研究基盤実現のためのソフトウェアの研究開発、およびシステム利用に伴うコンサルティングワークを行っている。
 本グループで開発したソフトウェアのうち、SC2003 で実際に動作させたのはGSI-SFS、GUIDE、IPv6 対応 Globus Toolkit の 3 つである。
 GSI-SFSはグリッド上に保存されているファイルへの安全なアクセスを提供する。インターネットは公共ネットワークであるため盗聴や成りすましの危険性があるが、GSI-SFS は全てのデータを暗号化して転送するため安全性が高い。また、GSI-SFSは多くのアプリケーションを改造することなく利用できるという特徴を持ち、今後、バイオに限らず高いセキュリティの必要とされる分野で広く利用されることが期待される。
 GUIDEは、グリッドに関する専門知識を持たない利用者でも、ウェブブラウザから簡単にグリッドを利用できるようにするグリッドポータルである(図2)。GUIDEは現在、バイオ研究で広く用いられている BLASTとClustalWに対応しており、ファイルアクセスにGSI-SFSを使用しているため他のアプリケーションへの対応も容易となっている。


    図2:GUIDEのログイン画面

 中国は地球上の70%以上の生物種を保持する、いわゆる巨大多様性国家(Megadiversity country)の一つであり、固有種の情報を多く含む生物資源データベースは世界各国の研究者らの注目を集めている。一方で、大阪大学には多数の高性能コンピュータが高速ネットワークで接続されたクラスタシステムが導入されており、解析アプリケーションを非常に高速に動作させることができる。これらの貴重なデータ資源と大規模な計算資源を接続することによって、バイオ技術の進展が期待され、我々はこのグリッドの創薬への応用も検討している。さらに、今回はBIIのデータ資源も利用させて頂き、4地点間で実証を行った。
 デモンストレーションブースの様子を示す(図3)。デモンストレーション以外にも、バイオグリッド・プロジェクトのブース内で定期的にプレゼンテーションを行い、我々の活動内容やデモンストレーションの内容について説明を行った。
 IPv6対応のGlobus ToolkitについてはTelescienceグループがデモンストレーションを行ったので、そちらを参照されたい。
 デモンストレーションとプレゼンテーションでは非常に多くの方々に興味を持って頂くことができた。特に、既存のアプリケーションの改造が不要なGSI-SFSによる、既存システムをグリッド化する際のコスト低減への期待が大きかった。一方で、いくつかの課題も明らかになった。GSI-SFSはグリッドのファイルシステムということもあり、パフォーマンスに関する質問が多く寄せられた。しかし、我々はセキュリティを最重視してGSI-SFSを設計、開発したため、現時点のGSI-SFSにはパフォーマンスを高めるための機能が備わっていない。また、一台のサーバがダウンしても他のサーバがサービスを続行できるのか、などフォールトトレランスに関する質問もあったが、このような機能もGSI-SFSは備えていない。今後、これらのコメントを参考に性能改善、機能拡張をしていきたいと考えている。

図3:デモンストレーションの様子

3.1.2. データグリッドグループ

 近年バイオに関する研究は目覚しく進展し、そこで得られた様々な知見は急速にデータベースとして蓄積されつつある。そこで、データベースに蓄積された既知の知見を利用し、統合的に生命活動を理解することが期待されている。しかし、バイオ関連のデータベースはデータ量が膨大である上に、その種類は多岐に渡っており、かつデータベースはWeb上に分散している。そのため、データベースを統合的に利用する技術についての研究行われてきた。しかし、バイオ関連のデータベースは、医学、薬学、生命科学など異なる分野にまたがっているため、それぞれ異なるスキーマをもち、その統合は難しい。そのため、それらのデータベースの関係を動的に求める連携検索技術が必要となる。そこで、我々はグリッド技術を用いて、バイオデータベースを分散環境に置きそれらを検索時に動的に連携させる技術の開発を試みている。このシステムは、バイオデータベース群を蛋白質や化合物、相互作用といったカテゴリに分類し、データベース連携が行われる。そして、カテゴリ毎のデータベース検索は、グリッドサービスとして提供する。データベース連携のグリッドサービスはGlobus Toolkit 3/OGSA-DAIを用いて統合される。
 プロトタイプシステムとして、創薬支援を目的として、蛋白質と化合物の相互作用検索のアプリケーションを導入した。SC2003では実際に、疾患、ゲノム、蛋白質、薬物に関した11個のデータベース(表2)を連携し、glucocorticoid receptorという蛋白質を中心に薬の候補となる化合物を検索するなどのデモンストレーションを行った。

表2:データベース関係一覧 図4:プロトタイプシステム

 OGSAを利用しているにも関わらず、あまり問題のない時間内で動いていた点が注目を集めていた。また、実際に利用してみたいという声も多かった。

3.1.3. コンピューティンググリッドグループ

 コンピューティンググリッドグループからは山中、米澤(大阪大学)、何、黒澤(日立)の4名が現地に赴きSC2003への参加及び展示を行った。ポスターの展示では、本グループのBioGridにおける立場とその意義について説明し、各々の成果についての詳細を解説する方法を採用した。
 ポスターおよびプレゼンテーションでは、最近のバイオインフォマティクスの拡大に伴い定着したと思われる、情報科学的側面から生命科学を考えた場合に構成されるシミュレーションの階層を概説している。その上でこの基礎概念を始点として生命にまつわる情報科学を異機種分散環境(=Grid環境)で取り扱う我々独自のBioPfugaの考え方を解説した。このような手順で本グループの目標を明確に示すことができたと考えている。
 以上をふまえた上で、次にBioPfugaの初めの大きな成果であるQM/MMシミュレーション開発とその研究利用について解説した。分子動力学プログラムPrestoX-basic(阪大蛋白研開発)とab initio計算プログラムAmoss(NEC開発)のHybridシミュレーションプログラムであるQM/MMシミュレーションについて、訪れた殆どの見学者が興味を示し、様々な質問及び有意義な討議を行うことができた。またSC2003直前にこのQM/MMシミュレーションに統合されたgDFT (generalized DFT, 阪大理学部開発) についても見学者から非常に興味を持って質疑が出され、討論が行われた。
 アクアポリン及びベンゼンと水の系に関するQM/MMシミュレーション結果をアニメーション動画展示(図5)にしたことで、我々の成果をより具体的に訪問者に伝えることができたと考えている。特にNECの技術援助によって作成されたQM/MMシミュレーション分子軌道のアニメーションは好評で、複数の見学者からグラフィックスに関する専門的な質問を受ける程であった。アクアポリンのような生命機能に重要な膜蛋白質については、多くのグループが分子動力学シミュレーション結果をSC2003で公表しており、その重要性がかいま見られた。


図5:AquaPorin Animation from QM/MM simulation

 AmossとPrsto-Xのデータ転送仕様であるUDS-XMLについても見学者から熱心な質問が寄せられた。また分子動力学専用ボードであるMDGrape-2のQM/MMシミュレーションへの適用に関しては、Grid上での大規模異機種分散計算という観点から、大きな興味が寄せられていると見学者の質問などから強く感じる事ができた。

3.1.4. HTCグループ

 蛋白質がはたらくためには、通常蛋白質ごとに決まった形に保持することが必須で、その立体構造は蛋白質を構成するアミノ酸配列情報にコードされている。生物種のゲノム、全DNA塩基配列が明らかになった今日、その塩基配列から本当に有益な情報を引き出すためには、その配列がコードしている蛋白質の立体構造を知ることが不可欠である。従来、アミノ酸配列が与えられたときに蛋白質の立体構造を予測することは非常に難しい問題とされていたが、近年の計算機技術、特にグリッド技術の急速な進歩に伴い構造予測が可能になった。
 そこでHTC (High Throughput Computing)グループはSC2003において、神戸大学理学部 高田研究室で開発されたAb initio型蛋白質立体構造予測アプリケーションのワークフローに基づき、グリッド上に分散された多数の計算機の中から遊休状態の計算機を探索してジョブを投入するシステムおよび結果表示システムを紹介した。
 神戸大学理学部 高田研究室で開発されたAb initio型蛋白質立体構造予測アプリケーションは、フラグメントアセンブリ法およびマルチカノニカルアンサンブルモンテカルロ法を適用しているため、繰り返し計算を必要とするがプロセス間通信に依存しないという特徴を有する。
 このため、蛋白質立体構造予測にかかる計算時間は計算機の台数にほぼ比例して短縮できる。
 HTCグループでは、計算機の台数に着目し、大学に存在する計算機の空き時間を利用するシステムを構築した。
 図6に、蛋白質立体構造予測システムの概略を示す。蛋白質立体構造予測システムはジョブ実行計算機(Processing Node)、ジョブ投入システム(Job Dispatching System)そして結果表示システム(Viewer System)の3種類で構成される。


  図6:蛋白質立体構造予測システム概略

 SC2003ではこれらのシステムを奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科の個人常用ワークステーションおよび情報科学センターinet-lab所有の計算機を使って構築した。
 このシステムは大学内の計算機の中から今後空き状態となる計算機を負荷予測によって見つけ出し、蛋白質立体構造予測計算を行うこと、計算結果を対話的にかつエネルギー分布と関連づけて表示できる特徴を有する。
 また、このシステムではWebブラウザを介してジョブ投入および結果表示を行うことができる。図7および図8は結果表示画面およびエネルギ分布表示画面を示す。

図7:結果表示画面 図8:エネルギー分布表示画面

 ブース全体のプレゼンテーションでは、蛋白質立体構造予測アプリケーションの特徴についてグリッドシステム構築という立場から説明し、SC2003向けに開発した蛋白質立体構造予測システムの概要を述べた。
 デモンストレーションでは、奈良先端大に設置したジョブ投入管理サーバ(Seed Pool Manager)および結果表示サーバにWebブラウザを使ってアクセスした。
Protein G 56残基の最終状態のシミュレーションにかかる時間は、Ultra SPARC IIe 500MHzおよびUltra SPARC IIi 550MHzあわせて88台を使った場合で2日程かかるため、デモの際には予め計算した結果を提示した。
 図9にProtein G 56残基の場合における最終状態のシミュレーション結果を示す。左が正解で、右がグリッドを利用して計算した中でよいとされる結果である。正解に徐々に近づいていることがわかる。

図9:Protein G 56残基の最終状態におけるシミュレーション結果
(左は正解、右は計算によって得られた結果)

 SC2003に向けてシステム構築を進めた結果、我々のシステムの有効性を知ることができた。特に、計算機の台数が増えるほどシミュレーションにかかる時間が短縮することがわかった。また、それと同時に新たな課題を見つけることができた。現時点ではジョブをどのノードに投入するかに注目しているが、次年度以降は蛋白質立体構造予測全体のワークフローに注目し、利用者の希望にしたがって蛋白質立体構造予測ができるシステムに改良していくことに注力したいと考えている。

3.1.5. Telescienceグループ

 Telescienceグループでは、これまでにUHVEMの遠隔操作システムの構築を行ってきた。遠隔操作システムは、UHVEMによる観測実験における観測時間を短縮するために、遠隔地のユーザによる利用、観測したデータの解析処理の自動化、解析データのデータベース化などの機能をもつ。今年度は、動画像伝送部および静止画像取得・共有・解析部の開発を行った。構築したシステムの概要を図9に示す。
 遠隔操作システムでは、遠隔地のユーザがリアルタイムに操作を行えるように、動画像カメラの映像を遠隔地に提供している。これまではSDTV品質の画像を利用していたが、昨年度新たにHDTV品質のカメラを導入し、KDDI研究所が開発したHDTV コーデックを用いてHDTV画像伝送システムを構築した。
 昨年度のシステムではMPEG2によるエンコーディングを利用していたが、今年度はさらに画像の応答時間を短縮するために、JPEG2000ベースのコーデックを開発した。
 これまでUHVEMでは、主にフィルムによる観測が行われていたが、コンピュータによる自動処理を促進する上で、CCDカメラによるフィルム品質の観測を実現するため、今年度新たに4096×4096の解像度をもつ高精細CCDを導入した。新規導入した CCDを遠隔操作システムから制御可能とするため、システムの拡張を行った。また、データ共有環境として、San Diego Supercomputer Center (SDSC)で開発されたSRBを用いたデータ共有環境を構築した。
 データ共有環境におけるデータ操作を容易にするユーザインタフェースとしては、MySRBがSDSC から提供されているが、ユーザの要望に合わせた柔軟なシステム構築を実現するため、PerlベースのユーザWebインタフェース、WebSRBを構築した。さらに、画像解析において必要となるボリュームレンダリングについて、遠隔地にあるサーバで処理を行い、結果をクライアントに画像として転送する機能を提供するSGI 社のソフトウェアVizserverをWebSRBと連携して利用する機能を開発した。
 Telescienceグループは、バイオグリッドブースおよびNPACIブースの二箇所でデモンストレーションを行った。バイオグリッドブースでは、超高圧電子顕微鏡(UHVEM)および SPring-8 の高精細CT用にSGIと共同開発したWebSRBのデモンストレーションを行った。また、NPACIブースでは、KDDI研究所が開発したHDTVコーデックを用いた、UHVEMのIPv6ネットワーク上での遠隔操作、および、グリッド基盤グループが開発したIPv6 enabled GridFTPを用いた、大規模画像データのリアルタイム伝送のデモを行った。NPACIブースのデモでは、ハードウェア不良により、画像が途切れるというアクシデントがあったが、昨年度デモを行ったMPEG2 ベースのシステムよりも応答性が改善されていることが確認できた。また、NCMIRのグループが開発している高精細画像表示システム(図10)においては表示する画像データのサイズが大きいため、大規模なデータ伝送が必要となる。そこで、グリッド基盤グループの協力により、グリッド基盤グループが開発したIPv6化を行ったGridFTPによるデータ伝送・表示のデモを行った。デモの様子を図11および図12に示す。

図10:高精細画像表示システム 図11:バイオグリッドブースでのデモの様子
図12:NPACIブースでのデモの様子

 Telescienceグループは、上述のアプリケーションによりMulti-Continental TelescienceチームとしてBandwidth Challengeに参加し、Application Awardを受賞した。これにより注目しているアプリケーションの重要性を再認識した。

3.1.6. SC2003報告に関するまとめ

 本報告では、バイオグリッド・プロジェクトを構成する各サブグループのSC2003での成果報告内容をその展示風景とともに紹介した。
 各グループはそれぞれの特色を生かしたシステムを展示し、来場者と活発な議論が交わした。さらには、TelescienceグループがSC2003 *Bandwidth ChallengeでBest Application Awardを受賞し、Globus Toolkit3/OGSA-DAIを利用した実用的な応用例として世界初の試みであるData Gridグループのデータベース連携システムが大きな注目を集めた。これにより国内外へ広くバイオグリッド・プロジェクトの研究開発能力をアピールできたといえる。
 今回のSC2003出展で得た知見をさらなる原動力として、今後もバイオサイエンス分野とグリッド技術との融合を推進していく所存である。

3.2. 研究成果

査読つき論文誌
(1) 甲斐島 武, 伊達 進, 水野(松本)由子, 下條 真司, "グリッド環境における協調並列型ジョブのためのスケジューリングシステム" 情報技術レターズ, 第2回報科学技術フォーラム(FIT2003), 第2巻,7-8頁, 江別, 2003年9月.
(2) Haruki Nakamura, Susumu Date, Hideo Matsuda, and Shinji Shimojo, “A Challenge towards Next-Generation Research Infrastructure for Advanced Life Science”, Journal of New Generation Computing, Vol.22, No.2, 2004 (in press).
(3) Edited by Akihiko Konagaya,Abbas Farazdel,Larry Ang,Peter Arzberger, Shinji Shimojo,Rick Stevens, “New Generation Computing Welcomes Contributions for a Special Issue”: Grid Systems for Life Sciences,Vol.22, No.2, in press, 2004.
(4) 水野(松本)由子, Gholam K. Motamedi, W. Robert S. Webber, 鵜飼 聡, 伊達 進, 甲斐島 武, 武田 雅俊, 下條真司, 井上健, Ronald P. Lesser,“てんかんの後発射に対する電気刺激を用いた抑制の効果”, 臨床脳波, Vol.45, No.12, pp.773-777, 2003.
(5) Rajkumar Buyya,Susumu Date,Yuko Mizuno-Matsumoto,Srikumar,Venugopal,and David Abramson, “Neuroscience Instrumentation and Distributed Analysis of Brain Activity, Data: A Case for eScience on Global Grids”, Journal of Concurrency and Computation: Practice and Experience,Wiley Press, USA, 2004 (accepted in Jan. 2004 and in print).

国内研究会
(6) 武田 伸悟, 伊達 進, 下條 真司,“グリッドファイルシステム GSI-SFS”, 情報処理学会研究報告(IPSJ SIG Technical Reports) 2003-OS-93, 情報処理学会, pp. 97-104, 2003年5月. <第93回 システムソフトウェアとオペレーティング・システム研究会 沖縄ムーンビーチホテル>
(7) Hongyu Shi, Shingo Takeda, Susumu Date, Shinji Shimojo, “A Secure Grid Envionment Using IPsec on IPv6”
(8) Takeshi Kaishima, poster JBIOMAG
(9) Takahiro Kosaka, poster JBIOMAG
(10) 市川 昊平, 伊達 進, 水野(松本)由子, 下條 真司,“ジョブ特性を考慮した優先制御機構を有する脳機能解析システムの設計と構築”, 情報処理学会研究報告(IPSJSIG Technical Reports) 2003-HPC-94, 情報処理学会, pp.37-47, 2003年6月. 第94回 ハイパフォーマンス研究会, 東京工業大学すずかけ台キャンパス.
(11) 史 宏宇, 武田 伸悟, 長谷川 一郎, 伊達 進, 水野(松本)由子, 下條 真司, “IPv6によるスケーラビリティに優れたセキュアグリッド環境の構築”, 情報処理学会研究報告(IPSJSIG Technical Reports) 2003-HPC-94, 情報処理学会, pp.25-30, 2003年6月. 第94回 ハイパフォーマンス研究会, 東京工業大学すずかけ台キャンパス.
(12) 武田 伸悟, 伊達 進, 下條 真司,“グリッドにおける大規模ファイル共有システムの構築”, 情報処理学会研究報告 2003-HPC-95 (29), pp. 167-172, 2003年8月.
(13) 甲斐島 武, 市川 昊平, 高坂 貴弘, 伊達 進, 水野(松本)由子, 下條 真司,“グリッド技術を用いた効率的並列処理による脳機能解析システム”, 情報処理学会研究報告 2003-HPC-95(33), pp. 191-196, 松江, 2003年8月.
(14) 高坂 貴弘, 細川 卓哉, 遠里 由佳子, 伊達 進, 松田 秀雄, 下條 真司, “OGSA-DAI による異種バイオデータベースの連携手法とその評価”, 電子情報通信学会技術研究報告 CPSY2003-20, pp. 7-12, 2003年8月.
(15) 上田 真由美, 高坂 貴弘, 細川 卓哉, 遠里 由佳子, 伊達 進, 松田 秀雄, 下條 真司,“メタデータを用いたバイオ情報データベース連携検索手法の提案”, 第2回情報科学技術フォーラム(FIT2003), 札幌学院大学(江別市), 2003年9月10~12日.
(16) 細川 卓哉, 高坂 貴弘, 遠里 由佳子, 伊達 進, 下條 真司, 松田 秀雄,“データグリッド技術を用いた異種分子生物学データベースの連携手法”, 第46回MPS研究会, 広島, 2003年9月.
(17) 市川 昊平, 伊達 進, 水野(松本)由子, 下條 真司,“優先度による実行順制御を考慮した脳機能解析ポータル”, 一般講演論文集(第2回情報科学技術フォーラム(FIT2003)), 第1分冊, 55-56頁, 江別, (2003年9月).
(18) 山下浩嗣, 秋山豊和, 原 隆浩, 加藤精一, 下條真司, 西尾章治郎,“データグリッド環境における大規模データ処理のパイプライン化に関する一考察”, 情報処理学会データベースとWeb情報システムに関するシンポジウム論文集, vol. 2003, no. 18, pp.25-30 (2003年11月).
(19) 秋山豊和,山下浩嗣,原 隆浩, 加藤精一, 下條真司, 西尾章治郎,“データグリッド環境における大規模データのパイプライン処理アーキテクチャの提案”,情報処理学会研究報告(データベースシステム研究会 04-DBS-132), vol. 2004, no. 3, pp.9-15 (2004年1月).
(20) 水野(松本)由子, 松本 敦, 大方 美香, 増田 寿子, 鵜飼 聡, 石井 良平, 山本 雅清, 川口 俊介, 伊達 進, 甲斐島 武, 下條 真司, 篠崎 和弘, 井上 健,“親の養育態度と子どもの性格的安定との関連性に関する質問紙を用いた調査”, 第100回日本精神神経学会総会, 札幌, 2004年5月20日~22日(予定).【投稿中】

国際学会・研究会
(21) Shinji Shimojo, Susumu Date, Toyokazu Akiyama, Toshiyuki Okumura, Hideo Matsuda, Haruki Nakamura, “BioGrid project in Kansai: Towards a Grid Technology for Advanced Life Science”, in International Workshop on Grid Computing and e-Science, in press, San Francisco, June 2003. (invited paper)
(22) R. Buyya, S. Date, Y. Mizuno-Matsumoto, S. Venugopal, and D. Abramson, “Composition and On Demand Deployment of Distributed Brain Activity Analysis on Global Grids”, in International Workshop on Grid Computing and e-Science, in press, San Francisco, June 2003. (invited paper)
(23) Shingo Takeda, Susumu Date, and Shinji Shimojo, “A User-oriented Secure Filesystem on the Grid”, The 3rd IEEE/ACM International Symposium on Cluster Computing and the Grid (CCGrid 2003), Poster/Demonstration No. 9, May 2003.
(24) Kohei Ichikawa, Susumu Date, Yuko Mizuno-Matsumoto and Shinji Shimojo. “A Grid-enabled Application of Brain Function Analysis”, The 3rd IEEE/ACM International Symposium on Cluster Computing and the Grid (CCGrid 2003) Poster Session, May 2003.
(25) Hongyu Shi, Susumu Date, Yuko Mizuno-Matsumoto, Youki Kadobayashi and Shinji Shimojo. “A Secure Grid Environment using IPSec on IPv6 Network”, The 3rd IEEE/ACM International Symposium on Cluster Computing and the Grid (CCGrid 2003) Poster Session, May 2003.
(26) Takahiro Kosaka, Susumu Data, Yuko Mizuno-Matsumoto and Shinji Shimojo, “The Development of Data Grid Environment for Neuroinformatics”, The 3rd IEEE/ACM International Symposium on Cluster Computing and the Grid (CCGrid 2003), Poster/Demonstration No. 27, May 2003.
(27) Susumu Date,“Update with SC2003 Demo Briefing -towards the Promotion and Advancement of Bio Sciences”,Pacific Rim Applications & Grid Middleware Assembly (5th PRAGMA)", October 2003.
(28) R. Buyya, S. Date, Y. Mizuno-Matsumoto, S. Venugopal, and D. Abramson,“Composition and On Demand Deployment of Distributed Brain Activity Analysis Application on Global Grids”, Proceedings of the HiPC 2003 International Workshop on eScience, Dec. 17, 2003 (Hyderabad, India), Phoenix Publishers, USA.
(29) Toyokazu Akiyama, Hiroshi Yamashita, Takahiro Hara, Seiichi Kato, Shinji Shimojo, Shojiro Nishio, “A Proposal of Pipelined Image Processing in a Grid Environment”, in Proc. SAINT2004 Workshops, pp.596-601 (Jan. 2004).
(30) Kohei Ichikawa, Takeshi Kaishima, Susumu Date and Shinji Shimojo. “A Framework Supporting the Development of Grid Portal for Analysis Based on ROI.”, Second European HealthGrid Conference, Jan 2004.
(31) Takahiro Kosaka, Yukako Tohsato, Susumu Date, Hideo Matsuda and Shinji Shimojo. “An OGSAS-Based Integration of Life Scientific Resources toward Drug Discovery”, Second European HealthGrid Conference. Clermont-Ferrand, France. Jan 2004.
(32) Takashi Maeno, Susumu Date, Yoshiyuki Kido, Ichiro Hasegawa, Shinji Shimojo. “A System Architecture Assisting User Trial-and-Error Process in in-silico Drug Design”, HPC Asia 2004 Biogrid Workshop.Tokyo,July 2004.
(33) Masato Kitajima, Yukako Tohsato, Takahiro Kosaka, Susumu Date,Shinji Shimojo, Hideo Matsuda “Development of a Database System for Drug Discovery by Employing Grid Technology”, HPC Asia 2004 Biogrid Workshop.Tokyo,July 2004.

著書など
(34) 伊達 進, 下條 真司, 奥村 利幸, 松田 秀雄, 秋山 豊和, 中村 春木,“バイオグリッドプロジェクト「スーパーコンピュータネットワークの構築」”, 情報処理学会誌, 44巻, 6号(平成15年6月号), pp.601-607, 2003年6月.

関連記事など
(35) 「阪大中国とデータ“タッグ”」, 朝日新聞3面:総合, 2003年7月25日.
(36) 「阪大と中国 生物情報ネット構築-2万8000種検索可能に-」, 産経新聞:24面社会, 2003年7月25日.
(37) 「バイオ研究向けシステムを整備 阪大と中国科学院」, 日本経済新聞:17面テクノロジー, 2003年7月25日.
(38) 「阪大中国科学院 生物DBを効率検索-高速システム構築へ連携-」, 日経産業新聞:7面先端技術, 2003年7月25日.
(39) 「中国の生物資源 複数DB一度に検索-阪大などグリッド技術活用-」, 日刊工業新聞:5面科学技術.
(40) 「バイオグリッド基盤を実現-阪大が中国科学院と共同で開催-」, 薬事日報:2面, 2003年7月30日.
(41) “System to retriece biomass database developed”, Kansai Kippo, Vol. 10,No. 438,August 20, 2003.
(42) 「日米欧のデータベース バイオ情報一括検索-阪大教授ら新技術-」, 日本経済新聞:17面テクノロジー, 2003年11月14日.
(43) 「複数のDB統合-ゲノム創薬向けシステム-阪大が開発」, 日経産業新聞:6面先端技術, 2003年11月14日.
(44) 「ゲノム創薬-異分野DBを連携検索-阪大がデータグリッド技術」, 日刊工業新聞:科学技術, 2003年11月14日.
(45) 「バイオDBを連携-阪大がグリッド技術 高速検索可能に-」, 日本工業新聞:2面創造技術・バイオ, 2003年11月14日.
(46) 「複数のDBを一つに扱う新技術-バイオグリッド・プロジェクトが成果-」, 薬事日報:3面, 2003年11月26日.

招待講演、セミナーなど
(47) 伊達 進,“バイオグリッドプロジェクト(文部科学省ITプログラム スーパーコンピュータネットワークの構築)”, グリッド協議会記念シンポジウム2003, 都市センターホテル, グリッド協議会主催, 2003年4月.
(48) 伊達 進,“グリッド技術によるバイオリサーチプラットホームへのアプローチ”, 農林水産省委託研究プロジェクト「データベース・モデル協調システムの開発」データグリッドセミナー, 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター農業情報研究部, つくば, 2003年10月28日.
(49) 伊達 進, “CoreGrid: ライフサイエンス分野へのグリッド基盤技術の応用”, バイオグリッドシンポジウム (biogrid 2003), 大阪, 2003年12月8日.
(50) 下條 真司, 伊達 進, 「バイオグリッドの国際連携」アジアグリッドシンポジウム, 大阪, 2003年12月9日.
(51) 下條 真司, 伊達 進,“バイオグリッド:バイオへのグリッド応用とその技術課題”, 連続セミナー2003 第6回「グリッドコンピューティング」, 情報処理学会, 工学院大学, 東京, 2003年12月15日.
(52) 下條 真司,“ライフサイエンスとグリッドの融合から生まれる新しい研究環境”, バイオグリッドシンポジウム (biogrid 2003), 大阪, 2003年12月8日.
(53) 八木 直人, 秋山 豊和, “TeleScience:Spring8, 超高圧電子顕微鏡のグリッドネットワークへの接続”, バイオグリッドシンポジウム (biogrid 2003), 大阪, 2003年12月8日.

4. おわりに

 コンピューティンググリッドとデータグリッドを結びつける機構はKnowledge gridあるいはsemantic gridと呼ばれている(図13)。グリッドの標準化団体であるGGF (Global Grid Forum)は今後グリッド技術とWeb Serviceの融合を図っていくと宣言している。これにより、グリッドが知識をやり取りする基盤ともなることを意味しており、バイオ・医療分野の基盤ソフトウェアとなることが期待できる。バイオグリッド・プロジェクトでもそのような技術開発を目指している。本プロジェクトに関する詳細はプロジェクトウェブページhttp://www.biogrid.jpをごらん頂きたい。


      図13:バイオグリッドの挑戦