研究部門の業績

先端ネットワーク環境研究部門
Advanced Network Environment Division
(www.ane.cmc.osaka-u.ac.jp)


1 部門スタッフ


教授 中野 博隆

1972年4月 東京大学工学部電気工学科卒業、1977年3月 東京大学大学院工学系研究科電子工学専門課程博士課程修了。同年4月 日本電信電話公社(1985年4月より日本電信電話株式会社(NTT))))武蔵野電気通信研究所画像通信研究部入社。1989年10月 NTT情報通信処理研究所画像情報サービス研究グループリーダ、1995年7月 NTTヒューマンインタフェース研究所メディア応用システム研究部長、1999年1月 NTT移動通信網株式会社(現NTTドコモ)マルチメディア研究所長を経て、2004年4月より大阪大学サイバーメディアセンター先端ネットワーク環境研究部門教授、現在に至る。電子情報通信学会、映像情報メディア学会、画像電子学会、IEEE各会員。1977年博士(工学)。

助教授 長谷川 剛

1995年3月 大阪大学基礎工学部情報工学科退学。1997年3月 大阪大学大学院基礎工学研究科博士前期課程修了。1997年6月 大阪大学大学院基礎工学研究科博士後期課程退学。同年7月 大阪大学経済学部助手。1998年4月 大阪大学大学院経済学研究科助手。2000年7月 大阪大学サイバーメディアセンター先端ネットワーク環境研究部門助手。2002年1月大阪大学サイバーメディアセンター助教授。大阪大学大学院情報科学研究科の発足に伴い、2002年4月より、同研究科兼任。現在に至る。電子情報通信学会、The Internet Society各会員。2000年博士(工学)。

助手 笹部 昌弘

2001年3月 大阪大学基礎工学部情報科学科卒業。2003年3月 大阪大学大学院基礎工学研究科博士前期課程修了。2004年6月 大阪大学大学院情報科学研究科博士後期課程退学。2003年9月より2004年6月まで独立行政法人日本学術振興会特別研究員。2004年7月 大阪大学サイバーメディアセンター先端ネットワーク環境研究部門助手、現在に至る。電子情報通信学会会員。

2 教育および教育支援業績

[1] 全学共通教育機構において開講されている以下の科目を分担した。
(1) 情報処理教育科目「情報倫理と社会」
(以上、中野)
[2] 基礎工学部において開講されている以下の科目を担当した。
(1) 情報処理教育科目「情報論B」
(以上、中野)
(2) 情報ネットワーク(学部)
(3) プログラミングC(学部)
(以上、長谷川)
(4) 基礎工学PBL(情報科学)(学部)
(以上、長谷川、笹部)
(5) 情報科学ゼミナール(学部)
(以上、笹部)
[3] 大学院情報科学研究科情報ネットワーク学専攻において開講されている以下の科目を担当した。
(1) マルチメディアネットワーク
(以上、中野)
(2) ギガビットネットワーク
(3) 超高速ネットワーク構成論
(以上、長谷川)
[4] 情報ネットワーク小委員会委員(長)として、主に大阪大学情報ネットワークシステム(ODINS)の企画、管理、運用を担当した。具体的には、大学法人化やネットワークインシデントの多発化などを受けて、これらに対応するODINS倫理規定、セキュリティーポリシーなどの整備を進めた。また、2001年11月以来の現行システムが老朽化することから次期システムの検討を開始し、ワイアレスLANLANや高速化、高信頼化などの要求条件を集約した。セキュリティーインシデントの発生に対し、再発防止のための調査、警告発出などの対応を行った。
((以上、中野、長谷川))
[5] 文部科学省 21世紀COEプログラム 「ネットワーク共生環境を築く情報技術の創出」の一環として、大学院情報科学研究科情報ネットワーク学専攻における演習科目「情報ネットワーク学演習I」の中で、ネットワークプロセッサ設計ラボ(NWPラボ)を推進した。(長谷川)

3 2004年度研究実績

3.1 「ユビキタスネットワーク環境における通信方式の研究」

 諸技術発展を受けて、あらゆるものが独自の識別子とコンピュータを持ちワイアレスリンクで接続されるユビキタスコンピューティング環境が新しいパラダイムとして想定されている。その一環として、あらゆる商品にRF-IDを付けて、生産から最終消費まで一環管理しようとする構想は既に多くの実証実験が行われている。
 この様なユビキタス環境を前提としてユビキタスコンテンツのコンセプトがサイバーメディアセンターから提案されている。ユビキタスコンテンツはユビキタスノードからの情報をオンラインで収集し、一定のシナリオに従って可視化(コンテンツ化)するもので、状況に応じて姿を変える生きたコンテンツと言える。交通量・交通統計表示、道案内、人々の行動分析表示、環境モニタ・自然現象の分析表示などが具体例である。
 ユビキタスコンテンツ用のデータを収集するには、大量のユビキタスノードが高速移動している環境のもと(大モビリティー下)で、これらのユビキタスノードに効率よくアクセスし、目的の情報を得なければならない。
 そこで、新たな研究領域として、「ユビキタスネットワーク環境における通信方式の研究」を開始した。この研究では、ユビキタスネットワーク環境下の様々なアプリケーションに適用する通信方式を提案し、その特性を明らかにしていく。
 2004年度は、多数のユビキタスノードから単一のリーダにリアルタイム情報を収集する「ユビキタスノード用ストリーム型情報転送方式」の特性、適用領域の研究を進めた。

3.1.1ユビキタスノード用ストリーム型情報転送方式

 リーダはアクセスエリアに侵入したユビキタスノード(以下、ノードと称す)から識別子の登録を受ける。以後、リーダは識別子が登録されたノードに定期的にアクセスし、一定サイズの情報を読み出す。ユビキタスノードへのアクセスタイムアウト時にはエリアからこのノードが離脱したものと判断し、登録を削除する。
 方式は、登録・削除のスピード、読み出し効率(全ノードの読み出し速度合計/リーダの総合スループット))で評価できる。
 ノードのアクセスエリアへの到着と離脱がそれぞれポアソン過程とした時の特性をシミュレータにより確認した。また、この特性が理論的な解析にあっていることを確かめた。
 シミュレータ上で制御可能なパラメータを調整し、最適な動作点を見つけることができた。この時、読み出し効率は70%程度になる。ノードの到着・離脱率が大きくなると、登録・削除に要する負荷が重くなり、読み出し効率は悪化する。一般的にユビキタスノードはそのアンテナが非常に小さいため、リーダのキャリアは検出できても、他のノードのキャリアは検出できないと考えられる。この条件で適用可能な既存の方式、例えば純ALOHA方式を用いると約17%の効率が限界である。これと比較して十分な効率と言える。
 系の最適な制御パラメータは到着・離脱率に依存する。ノードの到着・離脱率は広範囲に及ぶと推測されるが、リーダとノードの自律的な制御により、制御パラメータを調整し追従性を高めていくのが今後の課題である。
[関連発表論文]
(1) 長手  航,“ユビキタスノード用ストリーム型情報転送方式におけるノード登録速度向上の研究,”, 大阪大学情報科学研究科特別研究報告, February 2005
(2) 平野 裕介,“ ユビキタスノード用ストリーム型情報転送方式における転送効率向上の研究”,大阪大学情報科学研究科特別研究報告, February 2005

3.2 高速トランスポートアーキテクチャに関する研究

 エンドホスト間でデータ系トラヒックを高速に、かつ効率よく転送するための中心技術がトランスポートプロトコルである。特に、近年のネットワークの高速化に伴い、エンドホストにおけるプロトコル処理によるボトルネックも重要な問題となってきている。さらに、ネットワークが拡がりをみせるにつれ、サービスの公平性も重要な課題となってきている。これらの問題は、高速ネットワークにおける輻輳制御と密接な関連を持ち、高速かつ公平なサービスは、単にネットワークの輻輳制御だけでなく、エンドホストの処理能力向上も考慮しつつ、統合化アーキテクチャを構築することによってはじめて実現される。本研究テーマでは、それらの点を考慮した研究に取り組んでいる。また、CDN (Contents Distribution Network)やデータグリッドなどの、IPネットワーク上において特定のサービスを提供するためのオーバレイネットワークにおけるトランスポートアーキテクチャに関する研究も行っている。

3.2.1 インラインネットワーク計測技術とその応用に関する研究

 近年のネットワークサービスの多様化に伴い、サービスオリエンテッドなネットワーク((サービスオーバレイネットワーク))が拡がりつつある。例えば、ピア同士の直接的な通信を実現するP2Pネットワーク、ネットワーク上での分散計算環境を提供するグリッドネットワーク、コンテンツ配信を目的としたContents Delivery Network (CDN)、IPネットワーク上に仮想網を構築するIP-VPNなどである。これらのネットワークは、IPネットワークを下位層ネットワークとして、特定のサービスを提供する上位層ネットワークととらえることができる。したがって、これらのネットワークにおいてサービス品質を向上させるためには、下位層ネットワークであるIPネットワークを与条件として、サービス提供のためのコネクション設定要求が発生した時に、利用可能な下位層ネットワーク資源量を適切に把握することが重要である。しかし、既存の利用可能帯域計測方式は、計測に長い時間がかかる、多くの計測用のパケットを用いるため外部トラヒックに与える影響が大きいなどの特徴を持つ。サービスオーバレイネットワークにおいては、常に最新の利用可能なネットワーク資源量をネットワーク内の他のトラヒックに悪影響を与えることなく取得することが重要であり、そのため既存の方式をそのまま適用することはできない。
そこで本研究では、 IP ネットワークのエンドホスト間で利用可能な帯域幅および物理帯域を同時にかつ少ないオーバヘッドで計測する方式を提案した。提案方式は TCP コネクションのデータ転送時に得られる情報に基づいて計測を行なうインラインネットワーク計測と呼ばれる方式であり、新たな計測用のトラヒックをネットワークに導入する必要がなく、かつ計測結果を素早く導出することが可能となる。物理帯域の計測手法に関しては、同時に計測を行う利用可能帯域値を利用することで、従来手法とはまったく異なるアルゴリズムを用いて物理帯域の推測を行っている。
 シミュレーション結果から、インラインネットワーク計測を行うTCPがその転送速度を落とすことなく、 数RTTに 1 回利用可能帯域の計測結果を導出することが可能であることがわかった。また、ネットワーク負荷が非常に高く、従来では計測が行えない状況においても高い精度で物理帯域の平均値、および計測値の信頼区間を導出することができることがわかった。
 さらに、インライン計測によって得られた利用可能帯域に関する情報を利用し、ネットワーク内での優先度の低いデータ転送をTCPによって実現するバックグラウンド転送を行うImTCP-bg方式の提案を行った。本提案方式においては、計測された利用可能帯域の情報を用いてTCPコネクションの最大ウィンドウサイズを設定することによって、バックグラウンド転送を実現している。また、利用可能帯域の計測ができない、または正確でない場合にも、フォアグランドトラヒックに影響を与えないデータ転送を実現するために、データパケットのラウンドトリップ時間を監視することでネットワーク輻輳を早期に発見する手法を提案した。
 提案したバックグラウンド転送手法の評価はシミュレーションによって行い、その結果、従来提案されているバックグラウンド転送と比較して、フォアグラウンドトラヒックに影響を与えることなく、高いデータ転送スループットを実現できることを明らかにした。

[関連発表論文]
(1) Cao Le Thanh Man, Go Hasegawa and Masayuki Murata, “ImTCP: TCP with an inline measurement mechanism for available bandwidth”, submitted to Computer Communications Special Issue: Monitoring and Measurements of IP Networks, September 2004.
(2) Cao Le Thanh Man, Go Hasegawa and Masayuki Murata, “Available bandwidth measurement via TCP connection”, in Proceedings of the 2nd Workshop on End-to-End Monitoring Techniques and Services (E2EMON 2004), October 2004.
(3) Cao Le Thanh Man, Go Hasegawa and Masayuki Murata, “A merged inline measurement method for capacity and available bandwidth”, in Proceedings of the 6th Passive and Active Measurement Workshop (PAM 2005), March 2005.
(4) Cao Le Thanh Man, 長谷川 剛, 村田 正幸, “ImTCP: “利用可能帯域の計測を可能とするTCP”, 電子情報通信学会技術研究報告, May 2004.
(5) Cao Le Thanh Man, Go Hasegawa, Masayuki Murata, “Inline network measurement: TCP with a built-in measurement technique”, 電子情報通信学会2004ソサイエティ大会, September 2004.
(6) 津川 知朗,長谷川 剛,村田 正幸, “インライン計測に基づく TCP によるバックグラウンド転送方式”, 電子情報通信学会技術研究報告, February 2005.

3.2.2 TCPオーバレイネットワークに関する研究

 ADSL やFTTH といった広帯域アクセス網技術の進展により、近年ますますインターネットが発展し、ユーザ数の爆発的な増加に伴い、要求されるサービスが多様化している。それらの中には、エンドホスト間のスループットなどに関して高いネットワーク品質を要求するサービスもあるが、現在のインターネットはベストエフォート型であり、ユーザの要求品質を満たすことはできない。この問題を解決し、IP 層において品質制御を行う技術としてIntServやDiffServ などが存在する。例えばDiffServでは、サービスの種類によってルータにおけるパケット処理の優先順位を決定することによって、各フローの通信品質の差別化を行うことを目的としている。しかしながら、IntServやDiffServを実現するためには、フローが通過するすべてのルータに品質制御機能が実装されている必要があり、ネットワーク規模に対するスケーラビリティ、導入コストなどの面から実現は困難であると考えられる。一方、CDN (Contents Delivery Network)におけるプロキシキャッシュサーバなどのように、品質制御をアプリケーション層で行う技術も研究されているが、各アプリケーションに特化した複雑な制御を必要とする、所望の性能を得るためのパラメータセッティング等が困難である、などの問題がある。
 そこで我々は、IP層やアプリケーション層において品質制御を行うのではなく、IP層においては従来のルーティングなど必要最低限の機能のみを提供し、品質制御をトランスポート層において行うTCPオーバレイネットワークに関する研究を行っている。TCPオーバレイネットワークにおいては、通常エンドホスト間に設定されるTCPコネクションをネットワーク内のノード((TCPプロキシ)) で終端し、分割されたコネクションごとにパケットを中継しながら転送を行う。これにより、TCPコネクションのフィードバックループを小さくすることが可能になるため、スループットの向上を期待することができる。また、TCPオーバレイネットワークを構築することによって、ネットワーク環境の違いを吸収することが可能になるため、要求されるサービス品質に応じた制御を行うことが可能になる。例えば、送受信ホスト間に無線ネットワークが含まれる場合、一般的にはTCP コネクションのスループットは大幅に低下する。しかし、無線ネットワーク部分でデータ転送が独立するように、その前後でコネクション分割を行うことにより性能劣化を最小限に抑えることが可能である。
 そこで本研究では、TCP オーバレイネットワークにおいて必要不可欠であるTCP コネクション分割機構について説明し、コネクション分割を行うことによりエンドホスト間のデータ転送速度が向上することを、簡単な数値例を用いて示した。しかし、既存システムの変更を最小限にとどめるために、TCP の輻輳制御アルゴリズムを各中継ノードにおいて独立に動作させる場合、それらが互いに干渉し、その結果期待するほどのスループットが得られないことが明らかとなった。そこで、この問題を考慮したエンドホスト間のスループット解析を示し、その妥当性をシミュレーションとの比較により検証した。その結果、スループット劣化はTCPプロキシの前後のコネクションが通過するネットワーク環境に差が少ない場合に大きくなり、最大で約60%性能が低下することがわかった。また、そのスループット劣化を防止するためには、従来TCPコネクションに必要とされる量の3倍から10倍の送信バッファが必要であることが明らかとなった。
 また、NECとの共同研究により、東京―大阪間の公衆インターネット回線を用いた、TCPプロキシ機構の実証実験をいった。その結果、TCPプロキシ機構が実ネットワークにおいても有効であり、エンド端末のプロトコルやパラメータ設定を変更することなく従来手法に比べて高いデータ転送スループットを獲得できることを明らかにした。また、TCPプロキシ間のTCPコネクションに高速TCPを用いることで、さらに高いスループットが得られることがわかった。

[関連発表論文]
(1) Ichinoshin Maki, Go Hasegawa, Masayuki Murata and Tutomu Murase, “Throughput analysis of TCP proxy mechanism”, in Proceedings of Australian Telecommunication Networks and Applications Conference (ATNAC), pp. 341-348, December 2004.
(2) Ichinoshin Maki, Go Hasegawa, Masayuki Murata Ichinoshin Maki, Go Hasegawa, Masayuki Murata and Tutomu Murase, “Performance analysis and improvement of TCP proxy mechanism in TCP overlay networks”, to be presented at International Conference on Communications (ICC) 2005, May 2005.
(3) 牧 一之進, 長谷川 剛, 村田 正幸, 村瀬 勉, “TCP オーバレイネットワークの性能解析および評価”, 電子情報通信学会技術研究報告(IN04-96), October 2004.
(4) 山根木 果奈, 浜 崇之, 長谷川 剛, 村田 正幸, 下西 英之, 村瀬 勉, “TCP プロキシ機構の実 ネットワーク上での実装評価”, 電子情報通信学会技術研究報告, February 2005.
(5) 山根木 果奈, “TCP プロキシ機構の実ネットワーク上での性能評価”, 大阪大学基礎工学部情報科学科特別研究報告, February 2005.

3.2.3 生物の増殖モデルに基づくTCPの輻輳制御方式

 帯域や遅延が大きいネットワークにおいてTCP Reno を用いた場合においてスループットが低下することが問題点として挙げられる。この問題は、ウィンドウサイズの増加量を決定するパラメータが小さく(1 ラウンドトリップ時間(RTT) あたり1 パケット)、 ,ウィンドウサイズの減少量を決定するパラメータが大きい(パケット廃棄発生時に半減させる) ことに起因している。この問題に対する解決法は数多く提案されているが、それらの多くはTCP Reno のウィンドウサイズ制御の基本的機構であるAIMD 方式を引き継いでおり、その増減の量を決定するパラメータをネットワーク環境に応じて静的あるいは動的に調節することでスループットの改善を行っている。
 しかし、それらの多くは特に帯域や遅延が大きいネットワーク環境を想定した修正であるため、他の環境において適用された場合にも問題点を持たないかどうかは不明であり、本質的な解決を行っているとはいえない。これは、TCP Reno は送受信ホスト間のパスのRTT を計測しているが、利用可能帯域を知るための効率的な方法を持たないためである。すなわち、TCP が何らかの手法を用いて、送受信ホスト間のパスの帯域に関する情報をすばやく、高い精度で取得することができれば、ウィンドウサイズの制御にAIMD 方式を用いる必要はなく、より効率の良い輻輳制御方式を考えることが可能となる。
そこで本研究では、インライン計測技術を用いて帯域に関する情報を取得し、その情報を用いてウィンドウサイズ制御を行うことによって、従来のTCP Reno における問題を本質的に改善するための新たなTCP の輻輳制御方式を提案している。ウィンドウサイズ制御のアルゴリズムは、帯域に関する情報を用いることによってウィンドウサイズを適切な値にすばやく調節すること、および他のコネクションが競合する際に公平に帯域を分配できることを目的として設計する。そのために、数理生態学において生物の個体数の変化を表すモデルとして有名なロジスティック増殖モデル、およびロトカ・ヴォルテラ競争モデルを適用する。これらのモデルをTCP のウィンドウサイズ制御へ適用するために、生物の個体数をデータ転送速度に、個体数の収束値である環境容量を物理帯域に、および種間の競争を同一リンク上の複数コネクションの競合にそれぞれ変換する。本研究では、提案方式の特性を数学的解析によって明らかにし、提案方式が持つパラメータ設定方法に関する議論を行った。また、シミュレーションを用いた性能評価を行い、TCP Reno およびその改善手法と比較して高い性能を持つことを明らかにしている。

[関連発表論文]
(1) Tomohito Iguchi, Go Hasegawa and Masayuki Murata, “A new congestion control mechanism of TCP with inline network measurement”, in Proceedings of ICOIN 2005, (Jeju), pp. 109-121, January 2005.
(2) Tomohito Iguchi, “Achieving scalability and self-adaptivity to network bandwidth and delay for measurement-based TCP congestion control”, Master’s thesis, Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, February 2005.
(3) 井口 智仁, 長谷川 剛, 村田 正幸, “インライン計測に基づく高速 TCP 輻輳制御方式の提案”, 電子情報通信学会技術研究報告, pp. 83-88, October 2004.
(4) 井口 智仁, 長谷川 剛, 村田 正幸, “帯域計測に基づく TCP の輻輳制御方式の提案と評価”, 電子情報通信学会技術研究報告, March 2005.

3.2.4 超高速データ転送を実現するTCPの輻輳制御方式に関する研究

 例えば、近年注目されているデータグリッドネットワーク、ストレージエリアネットワーク等においては、エンド端末が1-10 Gbpsクラスの帯域を持つ高速ネットワークに直接接続され、データの取得・送出、データベースの更新、遠隔バックアップ等において、ギガバイトからテラバイト級のデータを高速に転送することが要求される。このような高速データ転送を行う場合に、現在のインターネットにおいて標準的に用いられているTCP Renoバージョンを用いると、大きなリンク帯域を十分使う程度のスループットを得ることができないという問題が指摘されている。この問題を解決するための一つの方法として、TCP Renoの輻輳制御方式を改変し、高いスループットを得ることができるHighSpeed TCPと呼ばれる方式が提案されているが、その性質はこれまで明らかになっておらず、特に従来のTCP Renoバージョンとの公平性に関しては考慮されていない。
 そこで本研究では、HighSpeed TCPコネクションが従来のTCP Renoコネクションと同じリンクを共有する場合の、スループットおよび公平性に関して、数学的解析手法およびコンピュータ上のシミュレーションを用いて考察している。その結果、HighSpeed TCPは従来のTCP Renoに比べて非常に高いスループットを得ることができるが、システム条件によっては大量のパケット廃棄によってスループットが著しく低下し、リンク帯域を十分使う程度のスループットを得ることができない場合があること、また、従来のTCP Renoと同じリンクを共有する場合、TCP Renoを用いたコネクションのスループットを大幅に低下させるため、両者の間の公平性を維持することができない等の問題点を持つことを明らかにしている。さらに本研究では、解析によって明らかになったHighSpeed TCPが持つ問題点を解決し、高いスループットを得るとともに、TCP Renoコネクションとの公平性を改善するTCPの輻輳制御方式の提案を行っている。提案方式の有効性はシミュレーションによって評価を行い、提案方式によって、従来のTCP Renoコネクション公平性を大幅に改善し、HighSpeed TCPに比べて最大で約50%のスループット向上を実現できることを示している。

[関連発表論文]
(1) Zongsheng Zhang, Go Hasegawa and Masayuki Murata, “Performance analysis and improvement of HighSpeed TCP with TailDrop/RED routers”, IEICE Transactions on Communications, January 2005.
(2) Zongsheng Zhang, Go Hasegawa and Masayuki Murata, “Performance analysis and improvement of HighSpeed TCP with TailDrop/RED routers”, in Proceedings of the Twelfth IEEE International Symposium on Modeling, Analysis, and Simulation of Computer and Telecommunication Systems, (Volendam), pp. 505-512, October 2004.
(3) 張 宗升, 長谷川 剛, 村田 正幸, “TailDrop/ARED ルータ下での HighSpeed TCP の性能改善手法”, 電子情報通信学会技術研究報告(情報ネットワーク), pp. 49-54, May 2004.

3.2.5 エンドシステム/ネットワーク統合環境におけるTCPの高速・高機能化に関する研究

 インターネットの急速な発展にともなうトラヒックの増大に対し、バックボーンネットワークでは広帯域化、高速化が急速に進められている。その結果、現在のインターネットにおいてはエンドホスト資源やアクセスリンク資源がボトルネックになりつつある。たとえば、繁忙なWeb サーバなどにおいてTCP を用いたデータ転送を行う際、エンドホストのソケットバッファ、ディスクリプタ、CPU 資源などのTCPコネクションを確立するための資源が不足することによってエンドホストがボトルネックなることが問題となる。そこで、本研究においては、この問題を解決するためにエンドホストにおけるTCP コネクション資源の管理方式を提案し、シミュレーション、実装実験を通して、その有効性を確認した。一方、現在のインターネットではDSL (Digital Subscriber Line) などの普及によって、ユーザホストとインターネットを接続するアクセスリンク帯域は増加している。しかしながら、依然としてアクセスネットワークの帯域はバックボーンネットワークに比べると十分ではなく、特にユーザが複数のネットワークアプリケーションを同時に利用するような場合ではアクセスリンク帯域がボトルネックとなる。また、標準のTCP コネクションのスループットはRTT などのパラメータに大きく影響されるため、必ずしもユーザの意図した割合でアクセスリンク帯域がアプリケーション間で共有されない。
 そこで本研究では、これらの問題点を解決し、ボトルネックとなるアクセスリンク資源を有効に活用するためのアクセス資源管理方式を提案した。提案方式においては、まずユーザホストで全てのTCP コネクションに割り当てられる受信バッファの総量を仮想的に調節することによって、アクセスリンクの輻輳を防止する。その後、各TCP コネクションへの受信バッファの割り当てを、TCPコネクションの性質に基づいて決定する。シミュレーションによる性能評価結果より、提案方式はデータ転送時間の減少、およびアクセスリンクでの輻輳の回避や遅延の減少に大きな効果があり、従来方式と比較した場合、アクセスリンクの利用率を高く維持したまま、 short-lived コネクションにおけるドキュメント転送の遅延を最大 90% 削減できることが明らかとなった。

[関連発表論文]
(1) Go Hasegawa, Tatsuhiko Terai, Takuya Okamoto and Masayuki Murata, “Scalable resource management for high-performance Web servers”, International Journal of Communication Systems, pp. 389-4061, September 2004.
(2) Kazuhiro Azuma, Takuya Okamoto, Go Hasegawa and Masayuki Murata, “Design, implementation and evaluation of resource management system for Internet servers”, to appear in Journal of High Speed Networks, 2005.
(3) Go Hasegawa, Kazuhiro Azuma and Masayuki Murata, “Receiver-based management scheme of access link resources for QoS-controllable TCP connections”, in Proceeding of SoftCOM 2004, October 2004.

3.3 P2Pメディアストリーミング機構に関する研究

 近年、ネットワークの広帯域化を背景に動画像配信サービスの利用が普及してきている。一方、コンピュータの高性能化により従来のクライアント-サーバ型アーキテクチャのようにファイルサーバやWWWサーバといったコンテンツを所有、管理するサーバを介するのではなく、ユーザ同士が直接、情報およびデータを交換するP2P型通信技術が注目されている。P2P型通信技術を用いることで、ネットワークの負荷変動や動画像に対するニーズの変化などに柔軟に対応することのできる動画像配信サービスが実現できるものと考えられる。我々の研究グループでは、ピュアP2P型通信モデルに基づく途切れなくスケーラブルな動画像配信技術について検討してきた。対象とするシステムでは、各ピアは過去に参照した/現在参照中の動画像を自身の有するキャッシュバッファに蓄積し、互いに交換・共有する。ピュアP2P型通信モデルではピアやデータの位置といったメタ情報を管理するサーバが存在しないため、ピアは所望の動画像をどのようにして見つけ出し、発見された取得先候補ピアの中からどのピアを選択すればよいのか、といった点が問題となる。さらに、各ピアの有するキャッシュバッファは有限であるためキャッシュデータの置き換えが発生することも考慮しなければならない。これらの問題に対し、スケーラビリティを考慮した検索手法と動画像再生の連続性を考慮した取得先選択手法、そしてネットワーク内の動画像に対する需要と供給のバランスを考慮したキャッシングアルゴリズムを提案した。キャッシングアルゴリズムについては、生物界における社会的昆虫の仕事割り当てモデルに着想を得ることでネットワーク内の需要と供給の変動に柔軟に対応できる手法を提案している。シミュレーション評価を通して、動画像に対する人気の変化、ネットワーク帯域の変動、ピアの離脱といったシステムの変動に柔軟に対応できることを示した。さらに、提案手法を実システム上に実装、実証実験を行うことで、実現性と有効性を示した。


[関連発表論文]
(1) Masahiro Sasabe, Naoki Wakamiya and Masayuki Murata, “Scalable, adaptive, and robust media streaming on peer-to-peer networks”, to appear in Telecommunication Journal of Australia, January 2005.
(2) Masahiro Sasabe, Naoki Wakamiya, Masayuki Murata and Hideo Miyahara, “Effective methods for scalable and continuous media streaming on peer-to-peer networks”, European Transactions on Telecommunications, vol. 15, pp. 549-558, November 2004.
(3) Masahiro Sasabe, Naoki Wakamiya and Masayuki Murata, “Adaptive media streaming on P2P networks”, in Proceedings of ATNAC 2004, (Sydney), pp. 549-556, December 2004.
(4) Go Yoshida, “Design, implementation and evaluation of scalable and continuous P2P media streaming system”, Master’s thesis, Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, February 2005.

4 社会貢献に関する業績

4.1 教育面における社会貢献

4.1.1 学外活動

 該当なし

4.1.2 研究部門公開

(1) 2004年4月29日午後13:00-~16:00まで、銀杏祭において研究部門公開を行い、24名の来訪者を得た。公開内容は次世代インターネット技術に関するもので、現在の数十倍~数百倍の速度を持つ超高速ネットワーク構築のための光技術を用いたネットワーク、そのネットワークを用いて高画質映像などのさまざまなマルティメディアコンテンツの転送、携帯電話等のモバイル機器を用いた高速ネットワークアーキテクチャ等に関する紹介を行った。

4.2 学会活動

4.2.1 国内学会における活動

(以上、中野)
(以上、長谷川)

4.2.2 論文誌編集

4.2.3 国際会議への参画

(以上、長谷川)

4.2.4 学会における招待講演・パネル

(以上、中野)

4.2.5 招待論文

該当なし.

4.2.6 学会表彰

該当なし.

4.3 産学連携

4.3.1 企業との共同研究

4.3.2 学外での講演

4.3.3 特許

4.3.4 学外委員

4.4 プロジェクト活動

(1) 総務省 中国総合通信局 「電子タグの高度利活用に関する調査検討会」(2004年6月25日~2005年3月31日 座長) RF-IDの高度な利用を望む声が高まっていることから、地域に密着した産業におけるRF-ID利用方法の開拓を目的に調査検討活動を行った。具体的には鮮魚とアパレルを対象として、RF-IDの輸送管理における有効性の確認、電波帯毎の特性確認、環境の影響評価を行った。
(以上、中野)
(2) 文部科学省 科学研究費補助金 基盤研究(A)(2)「サービスオーバーレイネットワークのためのインラインネットワーク計測技術の確立」(2003~2005年度)分担
(3) 総務省 戦略的情報通信研究開発推進制度 特定領域重点型研究開発 「ユビキタスインターネットのための高位レイヤスイッチング技術の研究開発」(2002~2004年度)分担
(4) 文部科学省 科学研究費補助金 (基盤(A))「メタ情報環境を実現するネットワーキング技術の確立」, 2004-2007分担
(5) 文部科学省 科学研究費補助金 (若手(A))「10Gbpsのスループットを達成する真にスケーラブルなTCPの輻輳制御方式の開発」, 2004-2006代表
(6) 文部科学省 科学技術振興調整費「サイバーソサエティ実現のための仮想網技術」, 2002-2004(研究分担者)
(以上、長谷川)
(7) 文部科学省 科学技術振興調整費「セキュアネットワーク構築のための人材育成」, 2001-2005分担
(以上、中野、長谷川)

4.5 その他の活動

・該当無し

2004年度研究発表論文一覧

学術論文誌

(1) 小林 充, 山口 博幸, ブン チュン セン, 中野 博隆,“H.324 Annex H モバイルマルチリンクオペレーションの一構成法”,電子情報通信学会論文誌B, Vol. J88-B, No.2, pp.460-468, February 2005.
(2) Cao Le Thanh Man, Go Hasegawa and Masayuki Murata, “ImTCP: TCP with an inline measurement mechanism for available bandwidth”, submitted to Computer Communications Special Issue: Monitoring and Measurements of IP Networks, September 2004.
(3) Zongsheng Zhang, Go Hasegawa and Masayuki Murata, “Performance analysis and improvement of HighSpeed TCP with TailDrop/RED routers”, IEICE Transactions on Communications, January 2005.
(4) Go Hasegawa, Tatsuhiko Terai, Takuya Okamoto and Masayuki Murata, “Scalable resource management for high-performance Web servers”, International Journal of Communication Systems, pp. 389-4061, September 2004.
(5) Kazuhiro Azuma, Takuya Okamoto, Go Hasegawa and Masayuki Murata, “Design, implementation and evaluation of resource management system for Internet servers”, to appear in Journal of High Speed Networks, 2005.
(6) Masahiro Sasabe, Naoki Wakamiya and Masayuki Murata, “Scalable, adaptive, and robust media streaming on peer-to-peer networks”, to appear in Telecommunication Journal of Australia, January 2005.
(7) Masahiro Sasabe, Naoki Wakamiya, Masayuki Murata and Hideo Miyahara, “Effective methods for scalable and continuous media streaming on peer-to-peer networks”, European Transactions on Telecommunications, vol. 15, pp. 549-558, November 2004.

国際会議会議録

(1) Cao Le Thanh Man, Go Hasegawa and Masayuki Murata, “Available bandwidth measurement via TCP connection”, in Proceedings of the 2nd Workshop on End-to-End Monitoring Techniques and Services (E2EMON 2004), October 2004.
(2) Cao Le Thanh Man, Go Hasegawa and Masayuki Murata, “A merged inline measurement method for capacity and available bandwidth”, in Proceedings of the 6th Passive and Active Measurement Workshop (PAM 2005), March 2005.
(3) Ichinoshin Maki, Go Hasegawa, Masayuki Murata and Tutomu Murase, “Throughput analysis of TCP proxy mechanism”, in Proceedings of Australian Telecommunication Networks and Applications Conference (ATNAC), pp. 341-348, December 2004.
(4) Ichinoshin Maki, Go Hasegawa, Masayuki Murata and Tutomu Murase, “Performance analysis and improvement of TCP proxy mechanism in TCP overlay networks”, to be presented at International Conference on Communications (ICC) 2005, May 2005.
(5) Tomohito Iguchi, Go Hasegawa and Masayuki Murata, “A new congestion control mechanism of TCP with inline network measurement”, in Proceedings of ICOIN 2005, (Jeju), pp. 109-121, January 2005.
(6) Zongsheng Zhang, Go Hasegawa and Masayuki Murata, “Performance analysis and improvement of HighSpeed TCP with TailDrop/RED routers”, in Proceedings of the Twelfth IEEE International Symposium on Modeling, Analysis, and Simulation of Computer and Telecommunication Systems, (Volendam), pp. 505-512, October 2004.
(7) Go Hasegawa, Kazuhiro Azuma and Masayuki Murata, “Receiver-based management scheme of access link resources for QoS-controllable TCP connections”, in Proceeding of SoftCOM 2004, October 2004.
(8) Masahiro Sasabe, Naoki Wakamiya and Masayuki Murata, “Adaptive media streaming on P2P networks”, in Proceedings of ATNAC 2004, (Sydney), pp. 549-556, December 2004.

口頭発表(国内研究会など)

(1) Cao Le Thanh Man, 長谷川 剛, 村田 正幸, “ImTCP: 利用可能帯域の計測を可能とするTCP”, 電子情報通信学会技術研究報告, May 2004.
(2) Cao Le Thanh Man, Go Hasegawa, Masayuki Murata, “Inline network measurement: TCP with a built-in measurement technique”, 電子情報通信学会2004ソサイエティ大会, September 2004.
(3) 津川 知朗,長谷川 剛,村田 正幸, “インライン計測に基づく TCP によるバックグラウンド転送方式”, 電子情報通信学会技術研究報告, February 2005.
(4) 牧 一之進, 長谷川 剛, 村田 正幸, 村瀬 勉, “TCP オーバレイネットワークの性能解析および評価”, 電子情報通信学会技術研究報告(IN04-96), October 2004.
(5) 山根木 果奈, 浜 崇之, 長谷川 剛, 村田 正幸, 下西 英之, 村瀬 勉, “TCP プロキシ機構の実 ネットワーク上での実装評価”, 電子情報通信学会技術研究報告, February 2005.
(6) 井口 智仁, 長谷川 剛, 村田 正幸, “インライン計測に基づく高速 TCP 輻輳制御方式の提案”, 電子情報通信学会技術研究報告, pp. 83-88, October 2004.
(7) 井口 智仁, 長谷川 剛, 村田 正幸, “帯域計測に基づく TCP の輻輳制御方式の提案と評価”, 電子情報通信学会技術研究報告, March 2005.
(8) 張 宗升, 長谷川 剛, 村田 正幸, “TailDrop/ARED ルータ下での HighSpeed TCP の性能改善手法”, 電子情報通信学会技術研究報告(情報ネットワーク), pp. 49-54, May 2004.

2004年度特別研究報告・修士論文・博士論文

修士論文

(1) Tomohito Iguchi, “Achieving scalability and self-adaptivity to network bandwidth and delay for measurement-based TCP congestion control”, Master’s thesis, Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, February 2005.
(2) Go Yoshida, “Design, implementation and evaluation of scalable and continuous P2P media streaming system”, Master’s thesis, Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, February 2005.

卒業研究報告

(1) 山根木 果奈,“TCPプロキシ機構の実ネットワーク上での性能評価”, 大阪大学情報科学研究科特別研究報告, February 2005.
(2) 長手  航,“ユビキタスノード用ストリーム型情報転送方式におけるノード登録速度向上の研究”,大阪大学情報科学研究科特別研究報告, February 2005.
(3) 平野 裕介,“ユビキタスノード用ストリーム型情報転送方式における転送効率向上の研究”,大阪大学情報科学研究科特別研究報告, February 2005.