第4代 サイバーメディアセンター長 竹村 治雄 |
大阪大学の情報基盤の中核として設置されたサイバーメディアセンターは、2010年4月に学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点(ネットワーク型)として、文部科学大臣の認定を受け、新たなスタートを切りました。その後、次世代スーパコンピュータである「京」の本格稼働にむけて、革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築を主導する準備段階におけるコンソーシアム構成機関の公募があり、サイバーメディアセンターは、計算資源提供機関としての構成機関に選定されています。この組織は、2011年度末までの間、2012年度からのHPCIコンソーシアムの本格稼働に必要な準備を他の構成機関と協力して行って参ります。
本センターは、教育・研究支援の一業務として「高性能計算サービスの提供」を行っています。計算科学と計算機科学、一字違いですが実際にはご承知のようにその内容は大きく異なると同時に密接に関係しています。計算機科学はコンピュータサイエンスのことであり、コンピュータを構築するための科学です。一方計算科学は、シミュレーション科学ともいわれ、数学的モデルとその定量的評価法を構築し、計算機を駆使して科学技術上の問題を解決する学問分野です。つまり計算科学は計算機を道具として活用して科学を進展させるものです。その道具を提供するのが計算機科学です。従って、計算機科学の発展無くしては、計算科学は発展しないとも言えるのではないでしょうか? 現在の計算科学の分野で用いられる計算機のアーキテクチャの主流は超並列に移行しており、従来のベクトル化や並列化によるプログラムの高速化に加えて、超並列に対応したMPIプログラミングのスキルが要求されます。今後、より多くの利用者に高性能計算機システムを利用していただくためにも、計算科学と計算機科学の両面からの利用者支援が必要と考えます。
本センターでも、今後も利用者の声を聞きながら、必要な支援を充実させるべく取り組みたいと考えています。また、2011年度からは今まで文部科学省の補助金により行ってきた民間向けのサービス提供を自主事業として再編し、実施いたします。これらのサービスを通じて利用者支援のノウハウを蓄積し、学内外の利用者へ還元できる体制が構築できればと考えます。また、引き続き、計算結果の可視化支援についても検討し、大阪市の梅田北ヤードにおける取り組みと連携して支援を行える体制の構築を図りたいと考えています。
最後に、各研究部門の教育・研究に関するアクティビティも年毎に充実したものとなってきていることが、年報の記事からもおわかりいただけると思います。教育・研究・および教育・研究支援活動をバランスさせることが本センターの発展には不可欠であり、そのためには、各研究部門が相互に関連して発展することが重要だと考えます。今後ともセンターの運営にご助言とご協力を賜りますようお願いいたします。