大前 智美

育児中も今も、
原動力は
「好き」と「夢」。

Role model03

大前 智美

大阪大学サイバーメディアセンター言語教育支援研究部門 准教授

鳥取大学教育学部総合科学課程 卒業
大阪大学大学院言語文化研究科 言語文化学専攻 博士前期課程
同 博士後期課程
同大学サイバーメディアセンターマルチメディア言語教育研究部門(現・言語教育支援研究部門)助手
同 特任准教授
同 特任研究員

研究について

外国語教育における研究者と教育者の二つの視点から。

コンピュータ、スマートフォン、タブレット等のICT機器を活用した外国語教育についての研究をしています。合成音声・音声認識のAPIを組み込んで開発した発声練習ソフトや音声を文字化する音声認識エンジンなども活用しています。大学と大学院のゼミで指導しており、大学のドイツ語初級の講義では、文法の他にICT機器を用いてドイツ語での表現方法や表現するための過程が学べます。

教育と切り離せない研究テーマであることから、研究者という立ち位置とは別に教育者として思うことも多く、入学したばかりのキラキラした学生たちに初めての外国語を教える先生という仕事は、私にとってもう一つの楽しみであり、大きな喜びになっています。

育児中も研究の現場に居続けることを決意。

二度の出産とも産休のみを取得。研究支援員制度や学内保育園には助けられましたが、うまく活用できる環境ではありませんでした。特に二人目を出産した後は、パフォーマンスの低下をひしひしと感じる状態に。それでもゼロになるよりは継続して研究のきっかけをつかむ方が良いと判断し、一時期は非常勤の教員や講師として勤めました。
産休・育休で現場から離れる女性研究者の不安は尽きません。大学の制度や子育てをバックアップする体制は充実してきていますが、所属する現場の理解がさらに進んでいくことを願っています。

今はメリハリの効いた働き方を維持し、成長した子どもと過ごす時間を大切にしています。子どもの剣道の試合に同行し、納得した試合の後の満ち足りた子どもの顔を見ると疲れも吹っ飛びます。

「好き」を大切にしていたら、文系から情報系へ。

もともとドイツ語が好きで大学院に進学。次にコンピュータ、ICT機器を触るのが好きになり、専門の外国語教育にICT機器を活用したいと思ったことから、文系出身でありながら今は情報系組織に属しています。もちろん、そのことで自分の知識や経験の無さや未熟さをどう補えばいいのか、今でも思い悩むことはあります。ただ、自分の好きなこと、自分がすべきことにまっすぐ向き合っていけば、次に進む道が見えてくると信じてきました。学生の皆さんには、寄り道をしてもいいので自分の「好き」を大切にし、それにとことん付き合ってほしいと思います。

「夢」はずっと持ち続けられるから、ワクワクが止まらない。

研究者としての夢は、もっと面白い世界をのぞいてみたいということ。デジタルネイティブ世代が大学に入ってくる時代を迎え、私たちがどういうツールをどう提供すれば、効果的に外国語を学ぶことができるのか、と思考を巡らせていくともう止まりません。

プライベートでは、あと数年して子どもたちが巣立ったら、旅に出たいと思います。外国語を教えていながら、子どもがいると長期間海外へ行くこともままならず。それが叶うと思うとワクワクします。

INTERVIEW