研究部門の業績

サイバーコミュニティ研究部門
Cybercommunity Division
(http://www-dg.setc.wani.osaka-u.ac.jp/keitai/)


1 部門スタッフ

教授 阿部 浩和
略歴:1983年3月大阪大学工学部建築工学科卒業、同年4月(株)竹中工務店入社、1996年4月(株)竹中工務店設計部主任、1998年4月(株)竹中工務店 設計部課長代理、1998年4月大阪大学全学共通教育機構非常勤講師(兼務)、2002年4月大阪大学講師サイバーメディアセンターサイバーコミュニティ研究部門、2003年10月大阪大学助教授サイバーメディアセンターサイバーコミュニティ研究部門、2004年10月大阪大学教授サイバーメディアセンターサイバーコミュニティ研究部門、日本図学会、日本建築学会、ISGG各会員。
講師 寺田 努
略歴:1997年3月大阪大学工学部情報システム工学科卒業。1999年3月大阪大学大学院工学研究科情報システム工学専攻博士前期課程修了。2000年6月大阪大学大学院工学研究科情報システム工学専攻博士後期課程退学。2000年6月大阪大学助手サイバーメディアセンターサイバーコミュニティ研究部門助手就任。2005年1月より同部門講師。IEEE、情報処理学会、電子情報通信学会各会員。

2 教育および教育研究支援業績

 本研究部門の教育に係わる主な活動を、以下に列記する。

2.1 教育活動

 本部門は大学教育実践センターにて図学教育を、工学部建築工学科、工学研究科建築工学専攻にて建築・都市形態工学講座を兼担しており、学部、大学院の学生の研究指導を行うとともに、下記の講義を担当した。

大学教育実践センター
工学部建築工学科
工学研究科地球総合工学専攻建築工学部門
 (以上 阿部)

2.2 スペースコラボレーションシステム(SCS)運営

 SCSの大阪大学内VSAT局大阪3の運営責任者を務めると共に、大学、関係部局が実施するSCSを用いた授業及びシンポジウム(以下に記す)について、VSAT局の操作支援を行った(阿部)。

2.3 体験的課題追求型教育科目構築プロジェクト

 同プロジェクトの一環として特別科目「マルチメディア時代の図学」を体験的課題追求型教育科目構築プロジェクトにおける体験的課題追求型授業として実施するとともに、専門基礎教育科目「図学実習B-Ⅰ」を体験的授業として実施し、当該WGの委員を務めた(阿部)。

3 研究概要

 サイバーコミュニティ研究部門では、情報化技術に支援される建築・都市コミュニティの構築に関する研究を行う。具体的には情報ネットワークによって統合される都市・建築群・組織・個人の枠組みにおけるコミュニティの構築と建築群の形態構成過程のマネジメント最適化に関する課題、及びその間で取り交わされる伝達情報としての図的表現法とその認知の的確化に関する課題などを取り扱う。現在、本研究部門では、以下の研究課題に取り組んでいる。

3.1 SCSなどの遠隔教育の企画運用と体験型授業に関する研究

 近年の情報伝達技術の高度化とともに図的表現法を用いたコミュニケーションの的確化の重要性が指摘されてきており、そのための教育プログラムが求められてきている。SCSは1996年10月から試験運用が開始され、1997年4月からは運用が始められた。このシステムの端末が設置された講義室をVSAT(Very Small Aperture Terminal)局と呼ぶが、VSAT局間では映像や音声を双方向にリアルタイムで交換できるため、複数のVAST局どうしを結んで講義や研究会、会議を行うといった使い方が可能である。
 当研究部門では1996年度から北海道大学、東京大学、名古屋大学間をSCSで結び、一般図形科学を内容とする共同講義を実施してきており、2003年度からは体験的課題追求型授業として受講生が実際にSCS機器を使って互いにコラボレーションを行う授業形式を取り入れている。

3.2 建築形態構成過程における具体化のプロセスと合意形成の的確化に関する研究

 サイバーコミュニティを収容するハードウェアとしての都市環境や建築群の構築には、高度化、専門化した知識が必要となり、これまで設計者に全てを任せることができた時代は終わり、包括的、統合的なプロジェクトマネジメントが不可欠になってきている。また一方で、公的規制の緩和に伴い、企業の自己責任原則の強化とアカウンタビリティの必要性が指摘されてきている。本研究部門は、このような観点から、建築プロジェクトの企画から設計、施工にいたるプロセスをコミュニティの形態構成過程と捉え、設計マネジメントの現状をクライアントとのかかわりの中で見直すことで、その設計討議における合意形成過程の適正化に関する知見を明らかにするとともに、コミュニティ構築のためのプロジェクトマネジメント手法の開発を行う。

3.3 大規模構築物における避難行動に関する研究

3.3.1 避難シミュレータの開発と避難行動特性に関する研究

 我々が生活する都市空間は日々複雑化する建築物の集積とともに災害時における危機管理が重要になっている。特に阪神大震災によって壊滅した神戸市や、ハリケーンによって水没したニューオリンズなどの事例は自然災害による大都市の脆弱性を示すに十分である。特に近年は、集中豪雨等による水害の多発により都市部での大規模な地下空間浸水の危険性が指摘されていることから、水害に対する都市の防災基盤整備はもちろん、建築物の防災計画は欠かせない。その中でも災害時の避難行動は多くのヒューマンファクターに影響されることが知られている。特に非常時における人々のパニック行動や間違った避難行動による人災事故は、災害そのものによる被害を上回る場合もあると指摘されている。このような人災を少なくするために、人間の避難行動の特性を把握することは重要である。しかしながらこれまでの災害事例の収集には限りがあること、そのデータの分析には当事者でない第3者が推定せざるを得ないこと、避難訓練時の行動分析などでは実際の災害そのものを再現できないことなどから、災害に直面した避難者の避難行動を把握することは非常に難しいと考えられ、本研究部門では地下空間浸水時の避難行動を対象とした、災害時の様々な状況を設定できる体験型の避難シミュレータを開発し、複数の被験者に適用することで、机上の避難者モデルでは認識しづらい災害時の避難者の避難行動に関する分析を進めている。

3.3.2  大規模建築物の避難経路選択モデルの開発

 建築物の高層化、深層化、複雑化により火災をはじめとする各種災害が年々多様化しており、災害発生時の迅速かつ的確な避難誘導は防災対策の重要な柱となる。一方、近年の情報通信技術の発達により、災害情報をリアルタイムで通信し、各避難者にとって最適な避難経路を提示するシステムの構築が可能になりつつある。本研究部門では、建築物の災害時の避難誘導を支援する為、各避難者にとっての最適な避難経路を導出するシミュレーションシステムの開発を目指している。

3.4 開発途上国における建築群形態構成と保全に関する研究

 東南アジアにおける都市化現象は、都市の社会基盤を上回る労働人口の過剰流入によって居住環境の悪化をもたらしている。その中でも社会主義からの政策転換から間もない後発発展途上国であるラオス人民民主共和国において、顕在化しつつある都市化現象を地域コミュニティ構築の観点から調査分析することで、住空間計画の実効性向上に資する要件を追求する。またそれとともに、長い間培われてきたラオスの特徴的住生活様式、伝統的建造物の保全に関する問題は、ラオスの古都ルアンプラパンがUNESCOの世界遺産に登録されたことなどからも、世界の注目を浴びており、多くの外国人観客や外国資本の流入とともに、伝統的建造物群や生活文化の保全とその維持保全システムの研究が欠かせない。当研究部門ではこのような観点から発展途上国のコミュニティ構築と建築形態構成の最適化に向けた研究を行う。

3.5 図的表現法と読図能力に関する研究

 図学教育を取り巻く環境は、近年の情報化技術の進展とともに大きく変化してきている。中でもオブジェクト指向の3DCADツールとそれに連動した制作装置の出現によって、コンピュータ上でバーチャルにイメージしたものが、そのまま実物としてアウトプットできるようになってきており、個々の部品に属性を付けることで3Dデータと実物が1対1の関係になりつつある。しかし一方で建築の専門教育の現場からは図形化力や空間認知力の欠如といった学習障害の問題や、スケール感の欠如、原理にもとづかない不自然な透視図の増加、読図能力の低下などの問題が指摘されはじめている。これらはCAD化に伴う3次元空間や立体物の認識プロセスの変化とそれらの情報を正確に加工伝達できる能力の欠如からくるものであり、新しい情報化技術に対応した図法幾何学や空間幾何学の教育が必要であることを示唆している。本研究部門では、こうした観点から、3次元形態の図的表現法とその読図能力に関する研究を行う。

3.6 建築設計教育とCAD・CG教育に関する研究

 近年、建築設計教育を取り巻く状況は、建築家資格の国際同等性の議論を契機に、建築分野におけるJABEE認証制度の開始や、建築学会による設計教育のあり方についての提言、実務的教育導入の問題など、これまでのわが国における建築設計教育に対する様々な議論がなされ始めている。1999年のUNESCO/UIAの総会で採択された建築設計者資格の国際的な推奨基準においては、「大学レベルにおける5年以上の教育」や「半分以上の時間をスタジオ教育に当てること」、「アクレディテーションの実施」、「実務教育の充実」などが見られ、これまでのわが国の建築教育の現状と整合しにくい要件が示されている。本研究部門では建築家資格の国際的同等性を主張する上で最も重要とされる建築設計教育に関する研究を行う。

3.7 建築および建築群の形態構成に関する研究

 バブル崩壊後の景気低迷下において、大都市の中心市街地は、大規模な資本投下が減少し、新規の再開発事業を見合わせる傾向が見られた。一方、土地価格の下落によって大都市の中心業務地区内において小規模商業施設が誘致される傾向が見られ、これまでの業務地区内の様相が変化してきている。その中でも昭和初期に建てられた木造モルタル2階建ての家屋や鉄骨造のモータープール、木造の小規模事務所などが取り壊されることなく、そのファサードの一部のみを新しい材料で改造したり、外壁はそのままで内部だけを新しい店舗に用途変更したものもが多く見られる。これらは今後、このままの形態で長期間にわたって維持されていくというよりは、時代や流行の変化に応じて移り変わる可能性を残している。ただこのような変化によって、これまでの町並み形態が変化し、そこで営まれる生活が変化してきているものと考えられる。ここでは大阪市中心市街地のなかで変化の著しい中崎町、堀江をとりあげ、それらの地区における仮設的コンバージョンの実態と市街地活性化の関連性について研究を行う。

3.8 高度なコミュニティ形成を実現するウェアラブルコンピューティングシステムに関する研究

 携帯端末の小型化・軽量化に伴って、ユーザが計算機を身につけて持ち運び、場所にかかわらずに計算機を利用するウェアラブルコンピューティングに対する注目が高まっている。ウェアラブルコンピューティングはハンズフリー・常時オン・生活密着といった特徴をもち、GPSや磁気センサなど各種のデバイスを柔軟に組み合わせてユーザの生活をサポートするさまざまなサービスが要求されている。しかしこれまでのシステムでは、場所に応じて機能を動的に変更するといった柔軟性がなかったり、使用するデバイスが固定されているという問題があった。そこで、本研究ではアクティブデータベースの概念を用いることで機能のカスタマイズや各種デバイスの追加・変更を容易にするウェアラブルコンピューティングの基盤システムを構築する。提案システムにより、ウェアラブルコンピュータを活用した新たなコミュニティの実現が期待できる。

3.9 ユビキタスコンピューティングを実現するイベント駆動型小型デバイスに関する研究

 近年のマイクロエレクトロニクス技術の発展や、PDAや情報キオスクなどさまざまな形態のコンピュータの普及により、いつでもどこでもコンピュータにアクセスできるユビキタスコンピューティングに対する注目が高まっている。ユビキタスコンピューティング環境ではいたるところにコンピュータが存在し、コンピュータ同士またはコンピュータとユーザが持つ端末とが連携することでさまざまなサービスを提供する。しかし、現在提案されているシステムは互換性がなく、また専用端末であるために汎用性、コスト面での手軽さに問題を抱えている。そこで、本研究では安価に多用途で利用できる汎用ユビキタスコンピュータに関する研究を行っている。提案するユビキタスコンピュータはその動作をECAルールと呼ぶ動作記述言語で記述するため、ルールを入れ替えることでさまざまな用途に利用可能である。また小型・軽量であるため、いたるところに組み込まれるユビキタスコンピュータとしての手軽さ、低コスト性を実現している。

3.10 コミュニティにおけるコンテンツ問合せ処理技術に関する研究

 広帯域放送サービスやモバイル環境におけるブロードバンドサービスが普及するにつれて、放送型通信やP2P型通信といった新たなデータ共有の枠組みができつつある。そこで、これらの新たな通信方式において、人々がいかに効率よくデータを取得し、周囲の人々とデータの共有ができるかという点に注目し、放送・通信融合環境における問合せ処理や放送型データベースシステムにおける効率的な問合せ処理、P2Pデータ共有環境における効率的な問合せ処理など、新たな環境においていかに溢れる情報をうまく取り扱うかというテーマに関する研究を推進している。

3.11 屋外における音楽活動を支援するシステムに関する研究

 近年のモバイルコンピューティング技術の発展により、人々は屋外でもコンピュータの支援を受けられるようになった。このようなコンピュータの支援は、人々の生活やコミュニケーション手段を変革させるポテンシャルをもっている。そこで、本研究では特に音楽活動に注目し、屋外で自由に音楽活動が行えるようなシステムを構築することで、音楽による自己表現やコミュニケーションを可能とする環境を実現することを目指している。

4 2005年度研究業績

4.1 SCSなどの遠隔教育の企画運用と体験型授業に関する研究

 1997年度より図的表現法を用いた情報伝達手段としての図形科学を学習する講義として大阪大学,東京大学,北海道大学の3大学でSCS(スペースコラボレーションシステム)を用いた共同講義を行ってきており、体験的課題追求型授業としては2002年度からの試行期間を含めて今年で4年目になる「問題を解くための可視化と図表現」の授業経緯と結果を分析した結果、授業に対する積極的な参加が見られ、SCSやインターネット等を使った遠隔地間コラボレーションを行う中で図形科学における立体形状の把握と的確な図的表現法による情報伝達の重要性を認識させることができる知見が得られた。

関連発表論文

(1)  阿部浩和,“体験的課題追求型授業としての問題を解くための可視化と図表現”,大学教育実践センター,体験的課題追求型プロジェクト報告書,Vol. 39,No. 3,pp. 105-112 (2006.2).

4.2 建築形態構成過程における具体化のプロセスと合意形成の的確化に関する研究

4.2.1 PFIによる公的施設整備にと公立小中学校の適用性に関する研究

 我が国における公立学校施設は、現在、その約半数に耐震性に問題があると指摘されており、昭和40 年代後半に建築された大量の校舎等が、今後次々に改築や補強が必要な時期を迎えることから早急な対応が求められている。しかしながら、公立学校を設置する地方公共団体の多くは財政難に直面しており、1999年に施行されたPFI 法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)が活用される傾向が見られる。しかしながら、公共教育における収益事業実施の可否や他目的施設の併設等による学校教育への影響等、教育上の問題も指摘されている。ここでは既に供用が開始されたPFI手法による公的施設整備を実地調査や実施方針書等の分析によって、PFI事業は、設計変更やそれに伴うコスト調整など関係者の作業負担が高いこと、維持管理・運営などに比べて施設計画が重要視されていること、公益性の確保と企業の利益の確保の矛盾、企業と行政の意識の乖離が見られる一方、公立小中学校施設整備に関しては、今まで不具合が発生してから対応していたメンテナンスに関して、中長期的にわたって安定した維持保全計画がなされること、利用者ニーズに適合した施設計画が期待できることなどが明らかとなった。
大阪大学の施設整備の事例

関連発表論文

(1) 田口 ゆか,“PFIによる公的施設整備の現状と公立小中学校への適用性に関する研究”, 大阪大学工学研究科 修士論文, 2006.2

4.3 大規模構築物における避難行動に関する研究

4.3.1 建築物の大規模災害時における避難シミュレータの開発と避難行動特性に関する研究

 建築物における地下空間浸水時の避難行動を体験できるウォークスルーシステムによる避難シミュレータを開発し、大阪都心部に建つ大規模建築物の地階を対象とし、対象の建築物データの作成と想定する災害の状況(以下災害シナリオ)の設定を行い、避難行動実験を行った結果、避難に成功した被験者の経路は9通りで、このうち通過する区画を引き返すことなく最短で直接避難できる階段を選択した被験者が最も多いこと、避難経路分類から避難に失敗する被験を得た。
避難シミュレータの映像

関連発表論文

(1) 安福健佑,阿部浩和,吉田勝行,“防災教育のための避難訓練シミュレータ(EDS)の開発,” 日本建築学会,日本建築学会第6回建築教育シンポジウム論文集,p67-72, 2006.1
(2) 安福健佑,阿部浩和,吉田勝行,“避難行動シミュレータの開発”,2005年度日本図学会本部例会学術講演論文集,p63-68,2005.12
(3) 安福健介,阿部浩和,吉田勝行,“体験型避難シミュレータの開発と地下空間浸水時の避難への適用”,日本図学会関西支部例会学術講演論文集,2006.2

4.3.2  大規模建築物の避難経路選択モデルの開発

 避難経路を最適化するシミュレーションシステム開発の第一段階として、家具の配置を考慮した空間構成において各避難者が最短経路を選択した場合の避難時間を算出するシミュレーションシステムを開発し、家具の配置が避難時間に及ぼす影響を検証した結果、家具を配置した居室が複数ある場合、居室同士を接続したネットワークモデルをメッシュモデルと組み合わせることで、効率的な最短経路選択モデルが構築でき、避難通路が限定されない家具配置の場合は、家具配置よりも出口扉の流動係数が居室避難時間に大きく影響し、家具配置は避難者が扉に到達するまでの時間にあまり影響しないこと、避難通路を限定するような家具配置は一方の扉に避難者が集中することになるため設計上の配慮が必要であること、などの結果を得た。
経路探索モデルの事例

関連発表論文

(1)  安福 健祐, 阿部 浩和, 吉田 勝行,“家具配置を考慮した避難経路選択モデル -避難誘導支援システムの開発 その1-”,日本建築学会近畿支部研究報告集、第45号 pp253-256、2005.6
(2) 安福 健祐, 阿部 浩和, 吉田 勝行,“避難シミュレーションにおける家具配置の影響”,2005年度日本建築学会大会学術講演梗概集,No5436,2005.9

4.4 開発途上国における建築群形態構成と保全に関する研究

4.4.1 ラオス・ルアンプラバンの歴史的遺産保存地区における伝統的建築形態の保存に関する研究

 UNESCOの世界遺産に登録されたラオス・ルアンプラバンの歴史的遺産保存地区における問題点とその要因を抽出するとともに、その結果を実際の保存整備プロジェクトに適用し評価することで、歴史的遺産保存地区における保存規則PSMVに対する違反建物の指摘件数はZPP-Ua地区とZPP-Ub地区がその大半を占めており、その用途は住宅建築が多いこと、違反内容について新築では屋根の色の違反や全体のボリュームに関する違反の割合が多く、改築では屋根の形態や外壁の材料に関する違反の割合が多いこと、また住民にとって保存すべき住宅イメージの共有はできているが、「ルアンプラバンらしい住宅」と「住みたい住宅」と「現在住んでいる住宅」は異なっていること、住民参加型ワークショップにおいて「村の未来」に対する住民の意見は生活面での利便性や安全性の向上を第一に望む者とラオスの伝統文化の保存を第一に望む者とに二分される結果を得、今後の保存地区整備事業において行政と住民との協働作業を進めていくための重要な要件が明らかとなった。
ルアンプラバンにおける許可申請の分析

関連発表論文

(1)  シツティワン ソムチット,河本順子,阿部浩和,“ルアンプラパンの歴史的遺産保存地区におけるPSMVの現状と課題,” 日本建築学会,日本建築学会計画系論文集,No.591, p119-124,2005.5
(2) シツティワン ソムチット,河本順子,阿部浩和,“ルアンプラバンの歴史的町並み保存に関する行政の取り組みと住民意識,” 日本建築学会,日本建築学会計画系論文集 598号, pp117-122, 2005.12
(3) SITTHIVAN SOMCHITH,阿部 浩和,“ルアンプラパンの歴史的遺産保存に関する行政の取り組みと住民意識”,日本建築学会近畿支部研究報告集,第45号pp473-476、2005.6
(4) SITTHIVAN SOMCHITH,阿部 浩和,“ルアンプラバンの歴史的遺産保存に関する住民意識”,2005年度日本建築学会大会学術講演梗概集,No7156,2005.9

4.5 図的表現法と読図能力に関する研究

 ラオスにおける建築指導の適正化のための手がかりを得ることを目標に、その第1段階としてラオス国立大学とスファノウォン大学の学生にMCTとPITを適用した結果、MCTに関してはNUOLの工学コースに進学予定の学生の成績が最も高く、次いでNUOLの経済コースに進学予定の学生、SPHの経済コースに進学予定の学生の順であること、MCTの成績が低いグループほど相関係数が小さくなる傾向がみられること、ラオスのNUOLの建築学部の学生の成績は日本の大阪大学の共通教育の1年生の成績とほぼ同じである一方、建築学部以外のラオスの学生の成績は有意に低く、特にルアンプラパンにあるSPHの学生の成績が低いこと、平均点が高いラオスの建築コースの学生と日本の共通教育の学生においては外観設問が内観設問に比べて難しく、PITの平均点が低いその他のグループにおいては内観設問も外観設問もいずれも同様に難しいこと、ラオスの建築コースの学生以外のグループと日本の共通教育の学生においては2層設問が1層設問に比べて難しいのに対して、ラオスの建築コースの学生は2層設問が1層設問に比べて難しくないこと、などの結果が得られた。

関連発表論文

(1)  シツティワン ソムチット,阿部浩和,安福健祐“ラオス人学生の建築図読図能力に関する分析,” 日本図学会,図学研究,第39巻3号, p119-124,2005.9
(2) Sitthivan Somchith, Anolac Vira, Abe Hirokazu,“Laotian Visualization Ability for Architecture,” International Society for Geometry and Graphics,Journal for Geometry and Graphics,Volume9, No1.pp 89-98, 2005.12
(3) YASUFUKU Kensuke, ABE Hirokazu, and YOSHIDA Katsuyuki,“Development of Architectural Visualization Ability Test Using Real-Time CG,”Proceedings of 7th. Japan-China Joint Conference on Graphics Education, pp.44-49,2005.7

4.6 建築設計教育とCAD・CG教育に関する研究

4.6.1 建築設計における具体化のプロセスに関する研究

 日本の建築設計教育は一般に設計演習(設計製図)という形で実施されてきている場合が多く、近年大学院まで含めた設計教育の拡充が進んできている。また設計演習の内容についても、これまでの設計条件提示型の演習に加えて、地域支援課題やインターンシップへの参加を単位認定とするものやインターネットを用いた遠隔地コラボレーションによる設計など、様々な試みが報告されている。これらは設計の行為が、単に机上の問題ではなく、現実の社会に直結する内容であることを再確認させる上で有効な手段であると考えられる。しかし一方で学生の設計技量においては、図形化力や空間認識力の欠如、スケール感の欠如の問題とともに、「プレゼンテーションの話はわかるが作品としての表現不足、設計スピードの遅さ」などが指摘されている。ここでは、本学で実施した建築設計演習の結果とその初期段階における具体化のプロセスを分析することで、学生の取り組みには、設計の特異解を競う傾向があり、与えられた条件にしたがって得られる一般解の検討をおろそかにする可能性があること、設計演習の初期段階の具体化プロセスにおいては、その形態にかかわる作図やスケッチなど図を用いた検討があまり行われておらず、作図行為の繰り返しによって導かれる課題解決に慣れていない可能性があることなどの所見が得られた。
学生の図的表現の事例

関連発表論文

(1)  阿部浩和,“建築設計演習の初期段階における具体化のプロセスに関する一考察, ” 日本図学会第35回図学教育研究会報告,図学研究,Vol. 39,No. 3,pp. 41-47 (2005.9).
(2) 阿部浩和,吉田勝行,“大学キャンパスの実測を取り入れた3次元CAD・CG教育とその評価-図学実習における取り組み-,” 日本建築学会,日本建築学会第6回建築教育シンポジウム論文集,pp41-46, 2006.1


4.7 建築および建築群の形態構成に関する研究

4.7.1 大都市中心部の仮設的コンバージョンに関する研究

 大阪中心市街地のなかで中崎町、堀江をとりあげ、その地区における仮設的コンバージョンの実態と市街地活性化の関連を分析することで、中崎町においては交差点ごとの仮設的コンバージョン建築の分布と人影の分布は一致するが、路線価や情報量の分布とは一致していない一方、堀江においては交差点ごとの仮設的コンバージョン建築の分布と人影の分布は一致するが、路線価や情報量の分布とは一致していないという結果が得られた。このことは仮設的コンバージョンは路線価、情報量に関しては影響が見られないが、人影には影響していること、ただし情報発信よりも先に賑わいが生じている可能性があるという結果を得た。
仮設的コンバージョンの事例

堀江地区における仮設的コンバージョンのプロット

関連発表論文

(1)  八木 章徳,“大都市中心部に見られる仮設的コンバージョンの傾向と市街地活性化の現状に関する研究(中崎町、堀江におけるケーススタディ)”, 大阪大学工学部 卒業研究報告, 2006.2

4.8 高度なコミュニティ形成を実現するウェアラブルコンピューティングシステムに関する研究

 近年、マイクロエレクトロニクス技術の発展による計算機の小型化・軽量化に伴って、ウェアラブルコンピューティングに対する注目が高まっている。ウェアラブルコンピューティングとは、計算機をユーザが常に身に付けて持ち運ぶコンピューティングの一形態であり、従来の計算機の利用形態と比較して次の3つの特徴をもつ(図1)。
図1 ウェアラブルコンピューティング
 ウェアラブルコンピュータはハンズフリーで利用できるため、ユーザは他の作業を行いながら、マニュアルなど各種の情報を閲覧できる。また、計算機の電源が常に入っているため、ユーザが計算機を利用していないときにも情報を収集することが可能となる。さらに、計算機はユーザとともに移動するため、現在位置に関する情報を取得しながらナビゲーションを行ったり、ユーザが会社にいる間はプライベートなメールの受信を停止するといったサービスが提供できる。ウェアラブルコンピューティング環境では、ユーザは常に個人用端末を携帯して行動するため、目的によって機器やシステムを取り替えるのではなく、場所や目的に応じて端末の機能を柔軟に変更できることが望ましい。そこで本研究では、ウェアラブルコンピューティング環境において、各種センサやデバイスの状態を処理し、様々なサービスを提供するための基盤システム「A-WEAR」に関する研究を行っている。A-WEARは、各種の入力を処理するルールによって、ウェアラブルコンピューティング環境における様々なサービスを提供する。また、プラグインメカニズムを用いることで動的なシステム拡張を実現している。これまで、基本的なシステム設計およびプロトタイプの実装を行ってきたが、本年度はA-WEAR自体の機能拡張を継続的に行うとともに、実用化に向けての取り組み、ルールベースのシステムを安全に運用するための枠組みに関する検討を行った。
 実用化に向けての取り組みとしては、A-WEARのさまざまな応用システムを開発し、実際に利用することで実証データの収集およびシステムの有効性の確認を行った。具体的には、昨年度も行ったバイクレースのピット作業をサポートするシステムをさらに拡充し、2005年8月に行われた鈴鹿8時間耐久ロードレースで実際に使用した。このシステムはヘッドマウントディスプレイ上に、チームに所属する選手の周回情報や順位、ライバルとの位置関係などをリアルタイムで提示し、さらにピットインが必要なタイミングを指示するといった機能をもつ。本年度は昨年までの機能に加え、振動子やLEDを体に装着し大事なイベント発生時に振動させたり光らせたりすることで、イベントに気づきやすくする機構を実現した。システムを利用している様子を図2に示す。
図2 システムを利用している様子
 また、ウェアラブル環境におけるナビゲーションシステムを容易に構築するためのナビゲーションプラットフォームを構築した。提案するプラットフォームはA-WEARを元に開発したシステムであり、ナビゲーションシステム開発者はコンテンツを提示すべき位置およびユーザ条件などを入力していくだけで簡単にウェアラブルナビゲーションシステムが構築できる。構築したナビゲーションシステムの画面例を図3に示す。
図3 ナビゲーションシステムの表示例
ウェアラブルコンピュータを用いると日常生活が適切に支援され、人と人とのコミュニケーションをより活発にできると考えられる。そこで、ウェアラブルコンピュータを活用した日常会話支援システムに関する取り組みを行っている。提案システムは音声認識を用いて、会話中のトピックの関連情報をリアルタイムで提示するシステムである。利用イメージを図4に、提示画面を図5に示す。提案システムはユーザの発する会話をヘッドセットを通して自動的に取得し、会話に出てくる単語の関連情報を自動的に検索してヘッドマウントディスプレイに提示し続けるシステムである。したがって、ユーザは検索しようと意識することなく、普段通りに会話し、必要な情報が現れたときにだけディスプレイに注目すればよい。本年度は提案システムのパラメータを調節する機構を導入し、表示される内容を「正確さ重視」「バラエティ重視」のように制御できるようにした。また、ユーザ評価を行い、提案システムが会話を盛り上げる効果があることを確認した。
図4 会話支援システムの利用イメージ
図5 提示画面

 これまでに述べたようなウェアラブルシステムを実際に利用する場合、ほとんどの情報は装着型ディスプレイ(HMD: Head Mounted Display)で閲覧することになる。一般に用いられているシースルー型のHMD(図6)では、外界の影響により情報の閲覧が難しくなる場合がある。たとえばごちゃごちゃした風景に重ねて情報を見る場合や、明るいところを見ながら情報を閲覧する場合、提示情報を把握することが難しい。そこで、HMD上での情報の提示位置を動的に変更する手法を考案した。提案手法ではカメラを用いてユーザの視界を取得し、あらかじめ学習させておいたユーザの嗜好とデータの読みやすさ、データがもつ位置制約を考慮して最適な位置に情報をレイアウトする。提案システムを用いることで、ユーザは日常生活においてHMDを用いていつでも情報を閲覧できるようになる。
図6 シースルー型HMDの仕組み
 このように、本研究課題では基盤技術の開発とシステムの実運用を並行して進めることで、ウェアラブルコンピューティングによる新たなコミュニティ形成に関する研究を進めている。上に示したシステム以外にも、日常会話支援やデータ共有支援など、ウェアラブルコンピューティングを活用した実践的なシステムを多数構築している。

関連発表論文
(1)  Nga Viet PHAM, Tsutomu TERADA, Masahiko TSUKAMOTO, and Shojiro NISHIO, “An Information Retrieval System for Supporting Casual Conversation in Wearable Computing Environments,” Proc. of 5th International Workshop on Smart Appliances and Wearable Computing (IWSAWC 2005), pp. 477--483 (June. 2005).
(2) Masakazu MIYAMAE, Yasue KISHINO, Tsutomu TERADA, Masahiko TSUKAMOTO, Keisuke HIRAOKA, Takahito FUKUDA, and Shojiro NISHIO, “A Wearable System for Supporting Motorbike Races -Suzuka 8 Hours World Endurance Championship Race in July, 2004-,” Adjunct Proc. of 17th International Conference on Ubiquitous Computing (UbiComp 2005) Demo Session (DVD-ROM) (Sep. 2005).
(3) Masakazu MIYAMAE, Tsutomu TERADA, Yasue KISHINO, Masahiko TSUKAMOTO, and Shojiro NISHIO, “An Event-driven Navigation Platform for Wearable Computing Environments,” Proc. of the 9th IEEE International Symposium on Wearable Computers (ISWC '05), pp. 100--107 (Oct. 2005).
(4) 寺田 努,“ウェアラブルコンピューティングシステムの実運用 -鈴鹿8時間耐久ロードレース-,” 日本バーチャルリアリティ学会誌, Vol. 10, No. 2, pp. 24--28 (June 2005).
(5) 木村朝子,寺田 努,“デバイス系:実世界のメタファを用いたインタフェースとウェアラブルシステムの実運用,” 若手によるモデル系研究とデバイス系研究第2回,ヒューマンインタフェース学会誌,Vol. 7, No. 2, pp. 51--56 (Sep. 2005).
(6) 田中宏平,岸野泰恵,宮前雅一,寺田 努,西尾章治郎,“光学式シースルー型頭部装着ディスプレイのための背景を考慮したオブジェクト配置手法,” 情報処理学会シンポジウムシリーズ マルチメディア,分散,協調とモバイルシンポジウム(DICOMO2005)論文集,pp. 749--752 (July 2005).
(7) 宮前雅一,岸野泰恵,寺田 努,塚本昌彦,平岡圭介,福田登仁,西尾章治郎,“バイクレースにおける観客支援のためのイベント駆動型ウェアラブルシステム,” エンターテインメントコンピューティング2005論文集,pp. 118--123 (Sep. 2005).
(8) 田中宏平,岸野泰恵,宮前雅一,寺田 努,西尾章治郎,“広角カメラを用いた光学式シースルー型HMDにおける情報提示手法,” 日本ソフトウェア科学会第13回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS2005)論文集, pp. 9--14 (Dec. 2005).
(9) 宮前雅一,岸野泰恵,寺田 努,塚本昌彦,平岡圭介,福田登仁,西尾章治郎,“バイクレース支援のためのイベント駆動型ウェアラブルシステムの実運用,” 日本ソフトウェア科学会第13回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS2005)論文集, pp. 43--48 (Dec. 2005).
(10) Maike Erdmann, Masakazu Miyamae, Yasue Kishino, Tsutomu Terada, Shojiro Nishio, “Design and Implementation of a Rule-based Navigation Framework for Wearable Computing Environments,” 第2回ウェアラブルコンピューティング研究会研究報告,Vol. 1,No. 2,pp. 7--12 (June 2005).
(11) ファン ガ ベト,寺田 努,塚本昌彦,西尾章治郎,“ウェアラブルコンピューティング環境における会話連動型ウェブ検索システム,” 第3回ウェアラブルコンピューティング研究会研究報告,Vol. 1,No. 3, pp. 15--21 (Dec. 2005).
(12) 寺田 努,“立ち上がるウェアラブルコンピューティング ~ウェアラブルコンピューティングの実践~,” CEATEC2005 JAPAN キーノートスピーチ (Sep. 2005).

4.9 ユビキタスコンピューティングを実現するイベント駆動型小型デバイスに関する研究

図7 AhroDの外観
 あらゆる物にコンピュータが埋め込まれ、それぞれが互いに通信しあいながら多様なサービスを提供するユビキタスコンピューティング環境に対する注目が高まっている。我々は、このようなユビキタスコンピューティング環境を実現するため、ルールベースの小型コンピュータであるAhroDを提案している。図7に示すAhroDはその動作をECAルールと呼ぶ動作記述言語で記述するため、ルールを入れ替えることでさまざまな用途に利用可能である。また、機能をできるだけシンプルに抑えることで小型化・軽量化・低コスト化を実現している。
 これまではAhroDの基本設計およびプロトタイプデバイス、接続するセンサユニットの開発を行ってきたが、本年度はAhroDを使って実際にネットワークを構築する際に必要となるネットワークトポロジ発見機構を実現した。また、AhroDを用いたアプリケーションが容易に開発できるような開発環境を構築した。また、AhroDを用いてRF-IDタグを柔軟に運用するための枠組みを提案した。これらの成果を活用することで、ネットワーク化されたユビキタスシステムが容易に構築できる。ネットワークトポロジ発見手法は、ECAルールを動的に交換することでデバイス間の無線接続状況を把握し、サーバにその情報を集約することで、メッシュ型やツリー型など自由にネットワークトポロジを検出できる手法である。ルールを用いてトポロジ検出を行うため、そのアルゴリズムは容易に交換可能であり、アプリケーションが必要とするトポロジを柔軟に構築できる。また、開発環境はこのトポロジ発見の機能を利用することで、周囲にあるAhroDの状況を検出できるため、環境内にAhroDを配置したままECAルールの入れ替えや更新などアプリケーション開発作業を行える。開発環境の画面を図8に示す。

図8 開発環境

 また、実際にAhroDを使った応用システムとして、Visual MarkerとAhroDを組み合わせた情報提供システム(図9)、RF-IDと組み合わせた入退室管理システム、壁面用ピン型デバイスと組み合わせた電子掲示システムなど多数のシステムを構築し、AhroDを用いることでさまざまなユビキタスアプリケーションを構築できることを示した。特に図10に示すピン型デバイスとの連携は、英国ランカスター大学のPin&Playプロジェクトと共同研究を行い、小型デバイスを用いた新たなサービス提供手法を提案した。
図9 Visual Marker と AhroDの融合システム 図10 壁面用ピン型デバイス

関連発表論文

(1)  岸野泰恵, 寺田 努, 塚本昌彦, 義久智樹, 早川敬介, 柏谷 篤,西尾章治郎,“ルールに基づくユビキタスデバイスのためのネットワークトポロジ発見手法,” 情報処理学会論文誌,Vol. 47,No. 2,pp. 521--533 (Feb. 2006).
(2) Yasue KISHINO, Tsutomu TERADA, Masahiko TSUKAMOTO, and Shojiro NISHIO, “A Ubiquitous Computing Environment Composed by Cooperation between Visual Markers and Event-Driven Compact Devices,” Proc. of the 1st International Workshop on Ubiquitous Data Management (UDM2005) pp. 84--91 (Apr. 2005).
(3) Tomoki YOSHIHISA, Yasue KISHINO, Tsutomu TERADA, Masahiko TSUKAMOTO, Ryohei SAGARA, Teruki SUKENARI, Daigo TAGUCHI, and Shojiro NISHIO, “A Rule-Based RFID Tag System Using Ubiquitous Chips,” Proc. of the 3rd International Conference on Active Media Technology (AMT2005), pp. 423--428 (May 2005).
(4) Yasue KISHINO, Tsutomu TERADA, Masahiko TSUKAMOTO, Tomoki YOSHIHISA, Keisuke HAYAKAWA, Atsushi Kashitani, and Shojiro NISHIO, “A Rule-Based Discovery Mechanism of Network Topology among Ubiquitous Chips,” Proc. of IEEE International Conference on Pervasive Services 2005 (ICPS'05), pp. 198--207 (July 2005).
(5) Tsutomu TERADA and Masahiko TSUKAMOTO, “Smart Object Systems by Event-driven Rules,” Proc. of the 1st International Workshop on Smart Object Systems (SOBS2005), pp. 100--109 (Sep. 2005).
(6) Yasue KISHINO, Tsutomu TERADA, Nicolas Villar, Hans Gellersen, and Shojiro NISHIO, “Position Detection Mechanism using Camera Images for Pin\&Play,” Adjunct Proc. of 17th International Conference on Ubiquitous Computing (UbiComp 2005) Demo Session (DVD-ROM) (Sep. 2005).
(7) Ryohei SAGARA, Yasue KISHINO, Tsutomu TERADA, Tomoki YOSHIHISA, Masahiko TSUKAMOTO, Shojiro NISHIO, “An Application Development Environment for Rule-based I/O Control Devices,” Proc. of Second International Symposium on Ubiquitous Intelligence and Smart Worlds (UISW2005), pp. 121--130 (Dec. 2005).
(8) 相良亮平,岸野泰恵,寺田 努,義久智樹,塚本昌彦,西尾章治郎,“イベント駆動型入出力制御デバイスのためのアプリケーション開発環境,” 情報処理学会研究報告(2005-DPS-124), pp. 31--36 (Sep. 2005).

4.10 コミュニティにおけるコンテンツ問合せ処理技術に関する研究

 ウェアラブル・ユビキタス技術を用いて新たなコミュニティの形成が行われると、そのコミュニティ上でさまざまなデータ流通が行われることになる。そこで、そのようなデータ流通を円滑に行うために、さまざまな環境における問合せ処理技術に関する研究を行った。
 まず、端末同士が直接接続する環境であるP2P型システムにおいて、効率的な検索を行う手法を提案した。P2P型システムはサーバを必要とせず、端末同士がバケツリレー方式で情報転送を行うため、トラフィックが大きくなるという問題があった。そこで、端末が情報を転送する際に、その転送データが将来必要になるかどうかを判断し、フィルタリングを行う仕組みを提案した。提案方式を用いることで、問合せ結果の再現率を落とすことなくトラフィックを半減させることができた。
 また、大量のユーザに低コストで情報を配信できる仕組みとして注目されている放送型通信を用いた情報システムに関する研究を推進している。特に、データベースの内容を周期的に放送する放送型データベースシステムにおける効率的な問合せ処理に関する研究および、放送と通信を融合した環境における最適な問合せ処理選択方法に関する研究を推進している。
 これらの方式は、さまざまな環境において従来の方式と比べて平均待ち時間や問合せ成功率を改善しており、次世代のネットワークシステムにおける効率的な問合せ処理を実現している。

関連発表論文

(1) 北島信哉,寺田 努,原 隆浩,西尾章治郎,“放送型データベースシステムにおけるデッドラインを考慮した問合せ処理方式,” 電子情報通信学会論文誌, Vol. J89-D, No. 2, pp. 151--162 (Feb. 2006).
(2) Hidekazu MATSUNAMI, Tsutomu TERADA, and Shojiro NISHIO, “A Query Processing Mechanism for Top-k Query in P2P Networks,” Proc. of the International Special Workshop on Databases (SWOD2005), pp. 84--87 (Apr. 2005).
(3) Jing CAI, Tsutomu TERADA, Takahiro HARA, and Shojiro NISHIO, “A Query Processing Method for Hybrid Wireless-Broadcast Networks,” Proc. of the 8th International Workshop on Mobility in Databases and Distributed Systems (MDDS2005), pp. 1078--1082 (Aug. 2005).
(4) Shinya KITAJIMA, Jing CAI, Tsutomu TERADA, Takahiro HARA, and Shojiro NISHIO, “A Query Processing Mechanism Based on the Broadcast Queue for Broadcast Database Systems,” Proc. of 1st International Symposium on Wireless Pervasive Computing 2006 (ISWPC2006), pp. 450--455 (Jan. 2006).
(5) 寺田 努,“「情報フィルタリング」とその数学的基盤の確立,” 日本のデータベース研究最前線,DB Magagine,翔泳社,pp. 148--149 (Aug. 2005).
(6) 松波秀和, 寺田 努, 西尾章治郎,“P2P型コンテンツ検索システムにおけるコンテンツ分布を考慮したTop-k検索処理手法,” 電子情報通信学会第17回データ工学ワークショップ(DEWS2006)論文集 (Mar. 2006).
(7) 北島信哉, 寺田努, 原隆浩, 西尾章治郎,“放送型データベースシステムにおけるモバイル端末の電力消費を考慮した問合せ処理について,” 電子情報通信学会第17回データ工学ワークショップ(DEWS2006)論文集 (Mar. 2006).
(8) 蔡 菁,寺田 努,原 隆浩,西尾章治郎,“放送・通信融合環境における放送スケジューリングと基地局キャッシングの連携手法,” 情報処理学会研究報告(放送コンピューティング研究グループ 2006-BCCgr-13), Vol. 2006, No. BCCgr-13, pp. 68--75 (Jan. 2006).
(9) 北島信哉,寺田 努,原 隆浩,西尾章治郎,“放送型データベースシステムにおける問合せ発生頻度に基づいた問合せ処理方式” 情報処理学会研究報告(放送コンピューティング研究グループ 2006-BCCgr-13), Vol. 2006, No. BCCgr-13, pp. 174--181 (Jan. 2006).

4.11 屋外における音楽活動を支援するシステムに関する研究

 近年、ゲームセンターなどのアミューズメント施設では音楽系ゲームが大流行している。音楽系ゲームは能動的に音楽を発信するという新しい音楽の楽しみ方を提供しており、このようなアプリケーションの重要性は今後もますます高まってくると思われる。また、これらの音楽系ゲームは一般の人だけでなく、実際の楽器の演奏を得意とするミュージシャンをもゲームセンターに取り込むほどの流行を見せた。特にコナミ社の「ドラムマニア」や「キーボードマニア」は、それぞれドラムやキーボードの演奏方法がほぼそのまま取り入れられており、得意とする楽器の腕前を一般に披露する機会を与えている。また、これらのゲームは複数人でのプレイが可能であり、音楽的なコラボレーション(セッション)の場を提供する役割をもっている。このように、能動的に音楽を楽しみ、人に演奏を披露し、さらに他人と音楽でコラボレーションしたいという要求は非常に高くなっているが、現状では限られた場所でしかこのような機会が与えられていない。そのため、いつでもどこでも携帯型の楽器を用いて音楽を楽しみたいという要求が高まっている。
 そこで、本研究課題ではこれまでにPDAを用いた屋外向け楽器や、小型ゲーム機を用いたコード入力システムなどを構築することで、いつでもどこでも楽器を演奏できる環境を実現してきた。本年度は特に携帯型鍵盤楽器に着目し、持ち歩き可能な小型鍵盤において演奏性を損なうことなく音域の広い楽曲を演奏できる仕組みを考案した。
 構築した鍵盤楽器であるモバイルクラヴィーアを図11に示す。モバイルクラヴィーアは従来の鍵盤楽器と異なり、すべての白鍵間に黒鍵を挿入した鍵盤楽器である。音域を移動させる場合、この黒鍵の色をON/OFFすることで、視覚的に現在設定されている音域を把握できるようにした。一般に、楽曲は数オクターブの音域を必要とするものが多いが、提案方式を用いることで2オクターブ程度の小型鍵盤を用意しておけばそのような広音域の楽曲を演奏できる。したがって、ピアノ演奏者がいつでもどこでも小型鍵盤を持ち歩き、自分の腕前を披露できるようになる。ユーザ評価の結果、モバイルクラヴィーアを用いることで、少ない鍵数で音域の広い楽曲をスムーズに演奏できることが明らかとなった。
 また、カメラを用いて鍵盤演奏における運指をリアルタイムで取得するシステムの開発や、鍵盤演奏者のための屋外用文字入力システムなどさまざまな鍵盤機器を開発し、音楽を日常的に利用する環境の構築を目指している。屋外で道行く人たちと即興演奏を行なう本システムのようなアプリケーションは、今後のモバイルアプリケーションの大きな柱となる可能性を秘めていると考えられる。
図11 モバイクラビィーアの外観

関連発表論文

(1) 竹川佳成,寺田 努,塚本昌彦,西尾章治郎,“追加黒鍵をもつ小型鍵盤楽器モバイルクラヴィーアIIの設計と実装,” 情報処理学会論文誌,Vol. 46, No. 12, pp. 3163--3174 (Dec. 2005).
(2) 竹川佳成,寺田 努,塚本昌彦,西尾章治郎,“追加黒鍵をもつ小型鍵盤楽器モバイルクラヴィーアIIの実装と評価,” エンターテインメントコンピューティング2005論文集,pp. 49--54 (Sep. 2005).
(3) 竹川佳成,寺田 努,西尾章治郎,“鍵盤奏者のための実時間運指取得システムの設計と実装,” 日本ソフトウェア科学会第13回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS2005)論文集, pp. 93--98 (Dec. 2005).
(4) 竹川佳成,寺田 努,西尾章治郎,“小型鍵盤を用いた文字入力インタフェースの設計と実装,” 第2回ウェアラブルコンピューティング研究会研究報告,Vol. 1,No. 2,pp. 19--24 (June 2005).
(5) 竹川佳成,寺田 努,西尾章治郎,“鍵盤奏者のための小型鍵盤楽器を用いた文字入力インタフェースの設計と実装,” 情報処理学会研究報告(2005-HI-116), pp. 91--96 (Oct. 2005).
(6) 竹川佳成,寺田 努,西尾章治郎,“鍵盤奏者のための小型鍵盤楽器を用いた文字入力インタフェースの評価,” 情報処理学会研究報告(音楽情報科学研究会 2006-MUS-64),Vol. 2006 (Feb. 2006,発表予定).

5 社会貢献に関する業績

5.1 教育面における社会貢献

5.1.1 学外活動

(1) NPO法人ウェアラブルコンピュータ研究開発機構の理事および事務局長を務め、本法人が主催する各種の講演会、イベントにおいてウェアラブルコンピュータの普及啓蒙活動を行った。特に、2005年10月3日~8日に幕張メッセで開催されたCEATEC2005において、ブース展示および基調講演を行い、ウェアラブルシステムおよびユビキタスシステムの最新成果をIT関係者および一般客に紹介した。(寺田)
(2) 財団法人関西情報・産業活性化センター 関西IT共同体において、コーディネータを務め、関西における情報系クラスターの振興のための活動を行った。(寺田)


5.1.2 研究部門公開

2005年度いちょう祭・大学祭

2005年4月の銀杏祭、および11月の大学祭において、図学CAD教室(大学教育実践センターB棟3F)の外部公開を行った。午後1時から4時の間、パネル展示コーナーとCAD装置に実際に触れて演習や立体視を体験できるコーナーを開設した。(阿部)

5.2 学会活動

5.2.1 国内学会における活動

(1)  日本建築学会建築教育委員会、教育と資格制度小委員会委員(阿部)
(2) 日本図学会関西支部委員(阿部)
(3) NPO法人ウェアラブルコンピュータ研究開発機構ウェアラブルコンピューティング研究会の主査を務める。また、情報処理学会放送コンピューティング研究グループ幹事、情報処理学会ユビキタスコンピューティングシステム研究会、ヒューマンインタフェース研究会、エンタテインメントコンピューティング研究会、音楽情報科学研究会および日本バーチャルリアリティ学会エンタテインメントVR研究委員会の運営委員を務める。ユビキタス、放送という今後の日本における情報環境を担う研究活動を推進している。また、エンタテインメント分野では日本のリーダーシップが期待されており、まずは国内においてエンタテインメント研究を盛り上げるための活動を行っている。また、情報処理学会において論文誌編集委員および論文賞選定委員を務め、学会に貢献している。これらの委員としての活動以外では、情報処理学会エンターテインメントコンピューティング2005プログラム副委員長、電子情報通信学会データ工学ワークショップ2006幹事、日本ソフトウェア科学会 第13回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS2005)実行委員、情報処理学会インタラクション2006プログラム委員を務める(寺田)。

5.2.2 論文誌編集

(1) 日本図学会学会誌編集委員(阿部)
(2) Journal of Ubiquitous Computing and Intelligence (JUCI) 編集委員(寺田)

5.2.3 国際会議への参画

 The 1st International Workshop on Smart Objects Systems (SOBS2005) においてオーガナイザを務め開催に貢献した。また、The 5th International Workshop on Smart Appliances and Wearable Computing (IWSAWC 2005) においてプログラム委員長を務め開催に貢献した。さらに、The Seventh International Conference on Ubiquitous Computing (UbiComp'05) ではポスターセッション委員長、2006 IEEE International Conference on Mobile Data Management(MDM 2006) ではローカルアレンジ委員長、The 2005 International Conference on Pervasive Systems and Computing (PSC-05) ではプログラム副委員長を務め、それぞれ会議の運営に貢献した。その他、The 11th International Conference on Parallel and Distributed Systems (ICPADS 2005)、The 4th International Conference on Entertainment Computing (ICEC'05)、The Second International Symposium on Ubiquitous Intelligence and Smart Worlds (UISW2005)、The IEEE International Workshop on Multimedia Technology and Ubiquitous Computing (MTUC 2006)、The 3rd International Conference on Ubiquitous Intelligence and Computing (UIC-06)、2006 International Workshop on Future Mobile and Ubiquitous Information Technologies (FMUIT'06)、ACM SIGCHI International Conference on Advances in Computer Entertainment Technology 2006 (ACE 2006) および the 2005 IFIP International Conference on Embedded and Ubiquitous Computing (EUC-05) においてプログラム委員を務める。(寺田)

5.2.4 学会における招待講演・パネル

(1)  阿部浩和,“いま問いなおす建築の設計・施工”,シンポジウム「阪神大震災から10年」パネルセッション,日本建築学会近畿支部,2005.6

5.2.5 招待論文

 該当なし

5.2.6 学会表彰

 該当なし

5.3 産学連携

5.3.1 企業との共同研究

 西尾章治郎,寺田 努,“状況・ユーザ嗜好による情報フィルタリング・提示技術の開発,” 三菱電機株式会社先端技術総合研究所との共同研究。

5.3.2 学外での講演

 寺田 努,“立ち上がるウェアラブルコンピューティング ~ウェアラブルコンピューティングの実践~,” CEATEC2005 JAPAN キーノートスピーチ (Sep. 2005).

5.3.3 特許

 ナビゲーション装置,特願2005-251979 (Sep. 2005).

5.4 プロジェクト活動

(1)  寺田 努,特定非営利活動法人ウェアラブルコンピュータ研究開発機構 理事。
(2) 寺田 努,特定非営利活動法人ウェアラブルコンピュータ研究開発機構 事務局長。
(3) 寺田 努,ISO/TC211コントリビューター。
(4) 寺田 努,関西IT共同体 関西IT共同体コーディネータ。

5.5 その他の活動

5.5.1 競争的資金の獲得

(1)  寺田 努(研究分担者),“大規模な仮想空間システムを構築する放送型サイバースペースに関する研究,” 日本学術振興会科学研究費補助金 基盤(B),5,000千円。
(2) 西尾章治郎,原 隆浩,寺田 努(分担者),小川剛史,“センサネットワークのための高度データ処理基盤に関する研究,” 日本学術振興会科学研究費補助金 基盤(A) (2005~2008).50,000千円

2005年度研究発表論文一覧

著書
 該当なし

学会論文誌

(1)  シツティワン ソムチット,河本順子,阿部浩和,“ルアンプラパンの歴史的遺産保存地区におけるPSMVの現状と課題,” 日本建築学会,日本建築学会計画系論文集,No.591, p119-124,2005.5
(2) シツティワン ソムチット,阿部浩和,安福健祐“ラオス人学生の建築図読図能力に関する分析,” 日本図学会,図学研究,第39巻3号, p119-124,2005.9
(3) Sitthivan Somchith, Anolac Vira, Abe Hirokazu,“Laotian Visualization Ability for Architecture,” International Society for Geometry and Graphics,Journal for Geometry and Graphics,Volume9, No1.pp 89-98, 2005.12
(4) シツティワン ソムチット,河本順子,阿部浩和,“ルアンプラバンの歴史的町並み保存に関する行政の取り組みと住民意識,” 日本建築学会,日本建築学会計画系論文集 598号, pp117-122, 2005.12
(5) 阿部浩和,吉田勝行,“大学キャンパスの実測を取り入れた3次元CAD・CG教育とその評価-図学実習における取り組み-,” 日本建築学会,日本建築学会第6回建築教育シンポジウム論文集,pp41-46, 2006.1
(6) 安福健佑,阿部浩和,吉田勝行,“防災教育のための避難訓練シミュレータ(EDS)の開発,” 日本建築学会,日本建築学会第6回建築教育シンポジウム論文集,p67-72, 2006.1
(7) 竹川佳成,寺田 努,塚本昌彦,西尾章治郎,“追加黒鍵をもつ小型鍵盤楽器モバイルクラヴィーアIIの設計と実装,” 情報処理学会論文誌,Vol. 46, No. 12, pp. 3163--3174 (Dec. 2005).
(8) 北島信哉,寺田 努,原 隆浩,西尾章治郎,“放送型データベースシステムにおけるデッドラインを考慮した問合せ処理方式,” 電子情報通信学会論文誌, Vol. J89-D, No. 2, pp. 151--162 (Feb. 2006).
(9) 岸野泰恵, 寺田 努, 塚本昌彦, 義久智樹, 早川敬介, 柏谷 篤,西尾章治郎,“ルールに基づくユビキタスデバイスのためのネットワークトポロジ発見手法,” 情報処理学会論文誌,Vol. 47,No. 2,pp. 521--533 (Feb. 2006).

国際会議会議録

(10) YASUFUKU Kensuke, ABE Hirokazu, and YOSHIDA Katsuyuki,“Development of Architectural Visualization Ability Test Using Real-Time CG,”Proceedings of 7th. Japan-China Joint Conference on Graphics Education, pp.44-49,2005.7
(11) Yasue KISHINO, Tsutomu TERADA, Masahiko TSUKAMOTO, and Shojiro NISHIO, “A Ubiquitous Computing Environment Composed by Cooperation between Visual Markers and Event-Driven Compact Devices,” Proc. of the 1st International Workshop on Ubiquitous Data Management (UDM2005) pp. 84--91 (Apr. 2005).
(12) Hidekazu MATSUNAMI, Tsutomu TERADA, and Shojiro NISHIO, “A Query Processing Mechanism for Top-k Query in P2P Networks,” Proc. of the International Special Workshop on Databases (SWOD2005), pp. 84--87 (Apr. 2005).
(13) Tomoki YOSHIHISA, Yasue KISHINO, Tsutomu TERADA, Masahiko TSUKAMOTO, Ryohei SAGARA, Teruki SUKENARI, Daigo TAGUCHI, and Shojiro NISHIO, “A Rule-Based RFID Tag System Using Ubiquitous Chips,” Proc. of the 3rd International Conference on Active Media Technology (AMT2005), pp. 423--428 (May 2005).
(14) Nga Viet PHAM, Tsutomu TERADA, Masahiko TSUKAMOTO, and Shojiro NISHIO, “An Information Retrieval System for Supporting Casual Conversation in Wearable Computing Environments,” Proc. of 5th International Workshop on Smart Appliances and Wearable Computing (IWSAWC 2005), pp. 477--483 (June. 2005).
(15) Yasue KISHINO, Tsutomu TERADA, Masahiko TSUKAMOTO, Tomoki YOSHIHISA, Keisuke HAYAKAWA, Atsushi Kashitani, and Shojiro NISHIO, “A Rule-Based Discovery Mechanism of Network Topology among Ubiquitous Chips,” Proc. of IEEE International Conference on Pervasive Services 2005 (ICPS'05), pp. 198--207 (July 2005).
(16) Jing CAI, Tsutomu TERADA, Takahiro HARA, and Shojiro NISHIO, “A Query Processing Method for Hybrid Wireless-Broadcast Networks,” Proc. of the 8th International Workshop on Mobility in Databases and Distributed Systems (MDDS2005), pp. 1078--1082 (Aug. 2005).
(17) Tsutomu TERADA and Masahiko TSUKAMOTO, “Smart Object Systems by Event-driven Rules,” Proc. of the 1st International Workshop on Smart Object Systems (SOBS2005), pp. 100--109 (Sep. 2005).
(18) Masakazu MIYAMAE, Yasue KISHINO, Tsutomu TERADA, Masahiko TSUKAMOTO, Keisuke HIRAOKA, Takahito FUKUDA, and Shojiro NISHIO, “A Wearable System for Supporting Motorbike Races -Suzuka 8 Hours World Endurance Championship Race in July, 2004-,” Adjunct Proc. of 17th International Conference on Ubiquitous Computing (UbiComp 2005) Demo Session (DVD-ROM) (Sep. 2005).
(19) Yasue KISHINO, Tsutomu TERADA, Nicolas Villar, Hans Gellersen, and Shojiro NISHIO, “Position Detection Mechanism using Camera Images for Pin\&Play,” Adjunct Proc. of 17th International Conference on Ubiquitous Computing (UbiComp 2005) Demo Session (DVD-ROM) (Sep. 2005).
(20) Masakazu MIYAMAE, Tsutomu TERADA, Yasue KISHINO, Masahiko TSUKAMOTO, and Shojiro NISHIO, “An Event-driven Navigation Platform for Wearable Computing Environments,” Proc. of the 9th IEEE International Symposium on Wearable Computers (ISWC '05), pp. 100--107 (Oct. 2005).
(21) Ryohei SAGARA, Yasue KISHINO, Tsutomu TERADA, Tomoki YOSHIHISA, Masahiko TSUKAMOTO, Shojiro NISHIO, “An Application Development Environment for Rule-based I/O Control Devices,” Proc. of Second International Symposium on Ubiquitous Intelligence and Smart Worlds (UISW2005), pp. 121--130 (Dec. 2005).
(22) Shinya KITAJIMA, Jing CAI, Tsutomu TERADA, Takahiro HARA, and Shojiro NISHIO, “A Query Processing Mechanism Based on the Broadcast Queue for Broadcast Database Systems,” Proc. of 1st International Symposium on Wireless Pervasive Computing 2006 (ISWPC2006), pp. 450--455 (Jan. 2006).

口頭発表(国内研究会など)

(23) 安福 健祐, 阿部 浩和, 吉田 勝行,“家具配置を考慮した避難経路選択モデル -避難誘導支援システムの開発 その1-”,日本建築学会近畿支部研究報告集、第45号 pp253-256、2005.6
(24) SITTHIVAN SOMCHITH,阿部 浩和,“ルアンプラパンの歴史的遺産保存に関する行政の取り組みと住民意識”,日本建築学会近畿支部研究報告集、第45号pp473-476、2005.6
(25) 安福 健祐, 阿部 浩和, 吉田 勝行,“避難シミュレーションにおける家具配置の影響”,2005年度日本建築学会大会学術講演梗概集,No5436,2005.9
(26) SITTHIVAN SOMCHITH,阿部 浩和,“ルアンプラバンの歴史的遺産保存に関する住民意識”,2005年度日本建築学会大会学術講演梗概集,No7156,2005.9
(27) 安福健佑,阿部浩和,吉田勝行,“避難行動シミュレータの開発”,2005年度日本図学会本部例会学術講演論文集,p63-68,2005.12
(28) 安福健佑,阿部浩和,吉田勝行,“体験型避難シミュレータの開発と地下空間浸水時の避難への適用”,日本図学会関西支部例会学術講演論文集,2006.2
(29) Maike Erdmann, Masakazu Miyamae, Yasue Kishino, Tsutomu Terada, Shojiro Nishio, “Design and Implementation of a Rule-based Navigation Framework for Wearable Computing Environments,” 第2回ウェアラブルコンピューティング研究会研究報告,Vol. 1,No. 2,pp. 7--12 (June 2005).
(30) 竹川佳成,寺田 努,西尾章治郎,“小型鍵盤を用いた文字入力インタフェースの設計と実装,” 第2回ウェアラブルコンピューティング研究会研究報告,Vol. 1,No. 2,pp. 19--24 (June 2005).
(31) 田中宏平,岸野泰恵,宮前雅一,寺田 努,西尾章治郎,“光学式シースルー型頭部装着ディスプレイのための背景を考慮したオブジェクト配置手法,” 情報処理学会シンポジウムシリーズ マルチメディア,分散,協調とモバイルシンポジウム(DICOMO2005)論文集,pp. 749--752 (July 2005).
(32) 竹川佳成,寺田 努,塚本昌彦,西尾章治郎,“追加黒鍵をもつ小型鍵盤楽器モバイルクラヴィーアIIの実装と評価,” エンターテインメントコンピューティング2005論文集,pp. 49--54 (Sep. 2005).
(33) 宮前雅一,岸野泰恵,寺田 努,塚本昌彦,平岡圭介,福田登仁,西尾章治郎,“バイクレースにおける観客支援のためのイベント駆動型ウェアラブルシステム,” エンターテインメントコンピューティング2005論文集,pp. 118--123 (Sep. 2005).
(34) 相良亮平,岸野泰恵,寺田 努,義久智樹,塚本昌彦,西尾章治郎,“イベント駆動型入出力制御デバイスのためのアプリケーション開発環境,” 情報処理学会研究報告(2005-DPS-124), pp. 31--36 (Sep. 2005).
(35) 竹川佳成,寺田 努,西尾章治郎,“鍵盤奏者のための小型鍵盤楽器を用いた文字入力インタフェースの設計と実装,” 情報処理学会研究報告(2005-HI-116), pp. 91--96 (Oct. 2005).
(36) 田中宏平,岸野泰恵,宮前雅一,寺田 努,西尾章治郎,“広角カメラを用いた光学式シースルー型HMDにおける情報提示手法,” 日本ソフトウェア科学会第13回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS2005)論文集, pp. 9--14 (Dec. 2005).
(37) 宮前雅一,岸野泰恵,寺田 努,塚本昌彦,平岡圭介,福田登仁,西尾章治郎,“バイクレース支援のためのイベント駆動型ウェアラブルシステムの実運用,” 日本ソフトウェア科学会第13回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS2005)論文集, pp. 43--48 (Dec. 2005).
(38) 竹川佳成,寺田 努,西尾章治郎,“鍵盤奏者のための実時間運指取得システムの設計と実装,” 日本ソフトウェア科学会第13回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS2005)論文集, pp. 93--98 (Dec. 2005).
(39) ファン ガ ベト,寺田 努,塚本昌彦,西尾章治郎,“ウェアラブルコンピューティング環境における会話連動型ウェブ検索システム,” 第3回ウェアラブルコンピューティング研究会研究報告,Vol. 1,No. 3, pp. 15--21 (Dec. 2005).
(40) 蔡 菁,寺田 努,原 隆浩,西尾章治郎,“放送・通信融合環境における放送スケジューリングと基地局キャッシングの連携手法,” 情報処理学会研究報告(放送コンピューティング研究グループ 2006-BCCgr-13), Vol. 2006, No. BCCgr-13, pp. 68--75 (Jan. 2006).
(41) 北島信哉,寺田 努,原 隆浩,西尾章治郎,“放送型データベースシステムにおける問合せ発生頻度に基づいた問合せ処理方式,” 情報処理学会研究報告(放送コンピューティング研究グループ 2006-BCCgr-13), Vol. 2006, No. BCCgr-13, pp. 174--181 (Jan. 2006).
(42) 竹川佳成,寺田 努,西尾章治郎,“鍵盤奏者のための小型鍵盤楽器を用いた文字入力インタフェースの評価,” 情報処理学会研究報告(音楽情報科学研究会 2006-MUS-64),Vol. 2006 (Feb. 2006).
(43) 松波秀和, 寺田 努, 西尾章治郎,“P2P型コンテンツ検索システムにおけるコンテンツ分布を考慮したTop-k検索処理手法,” 電子情報通信学会第17回データ工学ワークショップ(DEWS2006)論文集 (Mar. 2006).
(44) 北島信哉, 寺田努, 原隆浩, 西尾章治郎,“放送型データベースシステムにおけるモバイル端末の電力消費を考慮した問合せ処理について,” 電子情報通信学会第17回データ工学ワークショップ(DEWS2006)論文集 (Mar. 2006).
(45) 寺田 努,宮前雅一,岸野泰恵,中川隆志,山口喜久,西尾章治郎,“目的予測型カーナビゲーションシステムの実現,” 電子情報通信学会2006年総合大会 (Mar. 2006,発表予定).
(46) 宮前雅一,岸野泰恵,寺田 努,中川隆志,山口喜久,西尾章治郎,“目的予測型カーナビゲーションシステムにおける目的地推定手法,” 電子情報通信学会2006年総合大会 (Mar. 2006,発表予定).
(47) 宮下浩一,岸野泰恵,寺田 努,宮前雅一,西尾章治郎,“目的予測型カーナビゲーションシステムにおける情報提示手法,” 電子情報通信学会2006年総合大会 (Mar. 2006,発表予定).
(48) 田中宏平,寺田 努,西尾章治郎,“目的予測型カーナビゲーションシステムにおける情報配置手法,” 電子情報通信学会2006年総合大会 (Mar. 2006,発表予定).

解説・その他

(49) 阿部浩和,“建築設計演習の初期段階における具体化のプロセスに関する一考察,” 日本図学会第35回図学教育研究会報告,図学研究,Vol. 39,No. 3,pp. 41-47 (2005.9).
(50) 阿部浩和,“験的課題追求型授業としての問題を解くための可視化と図表現”,大学教育実践センター,体験的課題追求型プロジェクト報告書,Vol. 39,No. 3,pp. 105-112 (2006.2).
(51) Yasufuku Kensuke,Fumiaki Miyoshi, Akinori Yagi “The South point: from Ruin to Rejuvenation competition,” Emerging New York Architects Committee,(2006.1).


(52) 阿部浩和,“サイバーメディアセンター要覧2005第3版・表紙デザイン”, (2005.12)
(53) 阿部浩和,“サイバーメディアフォーラムNo.6・表紙デザイン”, (2005.9).
阿部浩和,“サイバーメディアセンター年報2004年度・表紙デザイン”, (2005.5).
(54) 阿部浩和,“共通教育だより2005年度・表紙デザイン”, (2005.9).

2005年度特別研究報告・修士論文・博士論文

博士論文

(55) シツティワン ソムチット,“ラオス・ルアンプラバンの歴史的遺産保存地区における伝統的建築形態の保存に関する研究”, 大阪大学工学研究科 博士学位論文, 2006.3

修士論文

(56) 田口 ゆか,“PFIによる公的施設整備の現状と公立小中学校への適用性に関する研究”, 大阪大学工学研究科 修士論文, 2006.2

卒業研究報告

(57) 三島 聡史,“歴史と未来の架け橋”, 大阪大学工学部 卒業研究報告, 2006.2
(58) 三好 史晃,“故キヲ温ネテ新シキヲ知ル”, 大阪大学工学部 卒業制作報告, 2006.2,2005年度卒業設計奨励賞受賞

(59) 八木 章徳,“blue in green”, 大阪大学工学部 卒業制作報告, 2006.2
(60) 三島 聡史,“ニュータウンにおける公園施設の利用者意識の実態とその変化に関する研究”, 大阪大学工学部 卒業研究報告, 2006.2
三好 史晃,“ニュータウンにおける戸建住宅の建替え・改修に関する居住者意識―建築の長寿命化の視点から―”, 大阪大学工学部 卒業研究報告, 2006.2
(61) 八木 章徳,“大都市中心部に見られる仮設的コンバージョンの傾向と市街地活性化の現状に関する研究(中崎町、堀江におけるケーススタディ)”, 大阪大学工学部 卒業研究報告, 2006.2