○TA(Teaching Assistant)の声○

情報活用基礎で「できる」コンピュータ         

廣瀬 裕二(大学院理学研究科 M2)

 コンピュータはそのOS(Operating System)の違いによって多少の操作法の違いがある。たとえばMacintoshでフロッピーを出す時は、Windowsと違ってそのアイコンをゴミ箱(書類を削除する時に入れるもの)へ持っていくといった具合である。サイバーメディアセンターのOSは御存じの通りLinuxを使っており、上述の2つに比べるとまだまだマイナーなものである。
 しかし皆さんが将来就職などで多かれ少なかれ何らかのコンピュータを利用することになるだろうが、それが自分の使ったことのあるものという保証は(おそらく)ないし、複数のOS、あるいは今後新しく発表されるOSを使う必要があるかも知れない。
 「情報活用基礎の講義でLinuxを勉強しても、他のOSを使えるものなのか?」 こんな不安を抱いている人がいるかも知れない。しかし新しいOSに直面した時は誰でも多かれ少なかれ本を読む、人に聞くなどし、実際使って身につけるのである。情報活用基礎で先生の話を聞いて指示通りの作業を行う、という練習でこのような場合に応用できる力がつく。現に私も2000年4月に初めてLinuxにふれ半年後には曲がりなりにもTAができるようになったのだから・・・。
 アプリケーション(ソフトウェア)も同じようなことが言えるし、さらにコンピュータをあまり使ったことのなかった人にはコンピュータの無限の可能性を知るいい機会である。HTMLの授業のときホームページを作るのにあまり興味がない、意味があるかという質問が出たが、コンピュータに「文字を赤くしろ」「ここを押したらここへリンクしろ」という命令ができるということは実感できたと思う。HTMLを使う機会はなくてもLaTeXできれいな文書を作る、Mathematicaで複雑な微分積分をする、ゲームなどのソフトウェアを作る、コンピュータシュミレーションなどなど、コンピュータに命令を送る場面はたくさんある。
 私が高校生の時、担任の先生がホームルームで「コンピュータを使うか、コンピュータに使われるか。どちらを選ぶか」とおっしゃったのを鮮明に覚えているが、情報活用基礎の講義でコンピュータは「使うもの」であること認識し、コンピュータへの恐怖心を持っている人がそれを無くしていただけたらそれだけでも非常に大きな収穫である。各教室で行われている情報活用基礎の内容に多少の差異があっても心配することは無い。
 最後に蛇足かも知れないが、コンピュータに命令する機器の中で最も使うものがキーボードである。店頭に最新のキャラクターものから懐かしいを通り越して生まれる前に放送されていたアニメものまで、様々なタイピング練習ソフトが氾濫している今、サイバーメディアのLinuxのタイピング練習のアプリケーションも1個から3個に増えている。その気になれば練習には事欠かない。ちなみに私は3年生頃にTypistというアプリケーションを講義のない時に練習し、タッチタイピングをなんとか身につけた。
 タイピングが明らかに手書きより遅いと思っている人はもう一度FとJに人指し指を置くことから始めよう。そのうち指がスムーズに動いて、あなたのパソコンライフがさらに充実したものになることは間違いない。

「情報活用基礎」のTAの声

森田 光茂(大学院基礎工学研究科 M2)

 昨年度から「情報活用基礎」のT.A.を担当しています。最近、小学校からコンピュータ教育がなされておりますが、かなりの数の学生が「情報活用基礎」という授業で、初めて本格的にコンピュータの教育を受けることではないでしょうか。また、サイバーメディアセンターのOSは、世に普及しているWindowsではなくLinuxですから、コンピュータを使いなれている人にとっても、その使い勝手の違いに戸惑ったのではないでしょうか。
 しかし、肝心なのはOSの違いに左右されないアプリケーションの利用ですから、教育という立場からすれば学生にさほどの違いは無かったように思います。特にネットワークアプリケーション(Netscape)は、その機能よりはその使い方を学ぶべきで、どのようなサイトにいけば知りたい情報が得られるかを重点的に学ぶべきであると思います。
 また、授業でも教官の方が触れられていましたが、全世界につながっているネットワークを快適に利用するにあたり、個人を攻撃するような発言等をしないなどネチケットをしっかり守ってもらいたいものです。この授業を通じてさらなる情報化社会への発展につながるネットワークの利用を、学生が考えてくれればと思います。

情報活用基礎を担当して

谷口 信志(大学院理学研究科 M1)
(sc7045tn@ecs.cmc.osaka-u.ac.jp)

 今年度の4月から理学部化学科および生物学科の情報活用基礎のTAをさせていただいております。未熟ながらも、私が感じたところを述べてみたいと思います。  1つは、授業の初めの数回は、学生がよくログイン時のパスワードを忘れてしまうということが起こりました。すぐにパスワードを再発行してもらえる安心感からか、ひとりで3回もパスワードを再発行してもらった人もいました。また、サイバーメディアセンターでは他人に見破られやすいパスワードは設定できないようになっていますが、このことについて「どうしてパスワードを見破られてはいけないんですか?」という質問をされた時にはさすがにどきっとしました。「この学生さんはいつかインターネットの危険にはまってしまうんではないだろうか」と感じたりもしました。
 このようなことから感じたことは、情報活用基礎ではインターネットの安全性について、(高校を出たばかりの学生に対して)十分に教育されるべきであるということです。
 また、これからの時代はネット上での情報発信も重要になってくることから、情報発信についてのモラルについても十分に教育することが重要であり、またそれらに精通した教官が授業を担当すべきであると考えます。
2つは、授業中の学生を見ておりますと、個々のパソコンの経験差のために、なかなか授業についていけない人から、さっさと課題を終わってしまってインターネットにふけっている人まで、進度差がどうしても出てきてしまいます。これは昔からあることなのでしょうし、進度の遅い学生さんへの補助が我々TAの役目ではあるのですが、これに加えて、はじめから授業を聞かずに平然とインターネットで遊んでいる学生も少なからず見受けられます。授業は全然聞かない、課題は他人のコピーを提出する、こういったことがさも当然であるかの如く振る舞う学生が、はたしてセンターの施設を自由に利用していいのか、はたと疑問に思うことがあります。
 授業を聞かないからと言って、即その人がセンターのシステムに悪影響を及ぼすかと言えば全然そんなことはないわけです。しかし、授業の進行という観点からすると、スムーズな授業およびTA業務を妨害している側面もあるのです。というのも、授業中にコンピュータがフリーズする場合というのは(少ない経験の中からではありますが)正規の課題に取り組んでいる場合よりも、ネットスケープで遊んでいる場合の方が若干ながら多く、フリーズした場合の処理の手間が、TA本来の業務である授業補助の邪魔になっていることが多いのです。
授業そのもの対する学生のモラル認識の問題は何も情報活用基礎に限ったことではありません。授業中に睡眠をとったり、他の課題をやったりする光景はずっと昔からあることです。しかし、他に迷惑を与える要素としてのネット遊びは、コンピュータ実習系かつTAを擁する授業の固有の問題として、別個に捉える必要があると思います。
学生が授業中にネット遊びに夢中になってしまう原因を考えると、やはりセンターの施設の自由度が高いことにその主因があると思います。インターネットはいくらつないでも無料、メールももちろん無料、授業を聞かなくても実質的な損はない、となると、ネット遊びに興味が行くのも当然と言えば当然です。しかしだからと言って、その優れた自由度をセンターから取り去ってしまうのはあまりにも非現実的です。
 問題は、このような優れたシステムを使用できるのが「当たり前」のものとして、そのありがたみを何も自覚することなくいるということではないでしょうか。思えば、センターを利用するに当たっての条件は、阪大の学生であるということ以外には何もないわけです。ガイダンス等を行い、システムを利用する際の注意点、授業で守るべきこと、ネット上の安全性の問題やモラル、過去の事例、自己責任の自覚、などのことについて十分に理解してもらった人のみにセンターの使用権が与えられる、というのがむしろ自然な姿だと思います。学生の自覚を促すシステム運営を望みます。

「情報活用基礎」のTAをして

清水 昌平(大学院人間科学研究科 M1)
                              

 わたしは4月から人間科学部1年生配当の「情報活用基礎」で、TAを務めさせていただきました。わたしが1年生だった4年前とは異なり、パソコンに触れた経験のある学生も多く、しかしながら、かえってそれが入学時での差を生み出しているともいえます。 わたしが担当したクラスはあまりパソコンに触ったことのない学生が中心でした。「コンピュータ不安」とまではいかなくても、正しい使い方しかしてはいけない、と難しく考えすぎている姿も見受けられました。結論から言えば、ちょっとのことではパソコンはおかしくならない(というか、おかしくなったらソフトが悪いはず。悪いのはユーザーじゃないです。)、だから、どんどん積極的に触ってほしいと思います。
 携帯電話もコンピュータの一種です。新しい携帯電話をもったとき、あの分厚い取扱説明書を最初から最後まで熟読する人はいないでしょう?最初の数ページを読んでセットアップが終わったら、あとは細かい機能を確認するときに開く程度のはずです。
コンピュータも同じです。そして、最初の数ページはこの演習(の最初の数回)で既に読み終わりました。あとは「なんとなく」で試すことで、上達することができるはずです。最初の数ページを読めば、あとはカンでなんとかなるものです。なんとなくカンで試してみる人が多いはずです。コンピュータを使うとどんなことができるのか、ということが、なんとなくわかってればいいのです。
 メールを書くとき、グラフ入りのレポートを書くとき、ホームページを見るとき、作るとき、それぞれであなたが「したいこと」があるはずです。それに向けてどんどん試し、「したいこと」をひとつひとつ「できること」にしていったらいいのです。
 わたしたち人間科学部はコンピュータに関してはユーザーです。ややこしいことはTAやSA、それから情報学科の人に任せて、わたしたちは、きれいな絵をかいたり、説得力のあるプレゼンしたり、統計解析して社会科学の新しい知見を得たり、「ツール」としてコンピュータを使っていけばよいのです。「情報活用基礎」の授業がそのきっかけになれば、とてもうれしく思います。

「情報活用基礎」のTAを担当して

牧 一之進(大学院基礎工学研究科 M2)

 今回で2回目のTAになります。前回のときも思っていたのですが、もう少しシステム的に安定したものをつくっていただきたいと思います。とにかく計算機がフリーズしてしまうことが多く、授業中の仕事がそうした計算機を復旧するという作業に追われるだけ、ということが何度かありました。受講している学生さんにとっても自由に計算機を扱えないのは不満だと思います。また、授業中に席が足りないという状況も多く、端末数が少ないことにも疑問を感じます。授業に関係のない人に退出してもらっても、受講学生に対して初めから端末数が確保できていないということも聞きました。意欲を持って学ぼうとしているのにひどいと思いませんか?
 その反面、計算機にインストールされているソフトは充実しているのではないでしょうか。一般教養として身につけておきたいソフトの使い方は一通り勉強できると思います。OSがWindowsではないので学生にとって戸惑いがあるかもしれませんが、インストールされているソフトの多くがWindowと同じようなインタフェースをしているため、使い方を習得するのもあまり苦にはならないでしょう。
 最後に。質問をする学生さんが少ないので、どんどん質問すればいいのにと思います。明らかに分からないみたいなのですが、横を通っても質問する学生は少ないです。こちらからきっかけをつくると次から次へと質問がでてくるのですが。教える立場としても気軽に質問できるような環境作りをしてあげることが大切だなといつも感じます。また、いつも学生さんの立場で1つ1つ分かりやすく教えてあげることが大切だと実感しています。

情報活用基礎TA日記

酒田 輝昭(大学院基礎工学研究科 M2)

1 ログイン

 自分は医学部保健学科のTAを担当した。男女の比率は3:100くらいだろうか。5年前、自分が1回生の頃とは異なり、近年はパソコンが一般に広く普及するようになったので、結構みんな物知りなのでは・・・というのは私の思い込みのようで、キーボードを打つ手もあやふやな初心者が大多数であった。
「Loginって何?」
「大文字しか出ないんですけど」
「文字打っても *** って表示されちゃう」
などなど、
 初回は無事にログインをさせるまでに一苦労であった。中にはとっととログインしてNetscapeを立ち上げ、Xemacsからテトリスをするような猛者もまれにいる。そのような学生にとっては、「情報活用基礎」の授業時間は格好の息抜き時間となる。

2 電子メール

 大学院の学生やビジネスマンにはしごく当然の情報伝達手段だが、保健学科の1回生にとってはまだまだ目新しいもののようだ。但し5年前と異なるのは、"パソコンで"の電子メールは目新しい、という点だ。爆発的に普及してしまった携帯電話とそのメール機能のためである。まあしかし、隣の人とメールをやりとりしてみたり、自分の携帯電話にメールを送ってみたりと、新たな発見には目を驚かせている学生が多かった。ただ、彼らの中には、パソコンのキーボード入力よりも携帯電話のボタン入力の方が高速に文字を打てる人もいると思う。
何が大変かって、課題として送られてきた約60通の自己紹介メールに
「ちゃんと届いてますよ」
「授業頑張りましょう」
と返事を書くのが大変だった。
 ただ、自分と同じ地元出身者だと、文章が他の人に比べ少々長めになっていたのはちょっと差別的・・・なのかな?

3 HTML作成  

 通常タグを用いてHP作成をしている自分には、Netscape Composerというツールの使い方を学生より先に知る必要があった。とはいうものの、どうもワープロ系のツールに対して拒絶気味な自分には、これを使いこなすのが難しく、正直、質問を受けた場合にメニューバーを見ながら返答できる程度であった。一部の生徒は私と同じ感覚を持っているようで、さっさとエディタを開いてタグの編集を始めていた。
 ホームページの出来具合は、もちろん経験者と未経験者によって差が出るが、それでも画面から伝わってくるものにはそれぞれ違いがある。
「○○のホームページです」以下課題へのリンクのみ、というものから、カラフルな画像を用いたり自分の趣味について丁寧に書き込んだりと、様々である。
 素人、玄人の違いはあるにしても、ホームページ作りに対する熱意、課題に対する取り組みの度合いが何となく見てとれる。

4 授業の様子

 操作にてこずり、授業中に真ん中のディスプレイを見ている暇もなく、少しずつ授業内容に遅れていく生徒もたまにいる。1週間前、2週間前にやった内容を問われることもある。まあそのためのTAなんだからという声も聞こえてきそうだ。
 ただ、もちろん初めてなので仕方が無い部分もあるが、授業の空き時間や放課後などにちょっと端末室に立ち寄り、課題を進めたり、キーボードの練習をするなどの努力は必要だと思う。端末室がいつも混雑していたり、パソコンの得意な人ほど端末室に出没するという現象にも原因は一部あるが。

5 OSに関することなど

 パソコン初めての人にTurboLinuxはやはり敷居が少し高いのかもしれない。GnomeなどのWindow Managerが進化し、GUI環境が整ってきてはいるが、WindowsのGUIを知っている学生などにとっては違和感が大きいだろう(1階層上に移動の ".."はなかなか理解してもらえなかった
 また、まだまだ不安定な部分も多いよう、特にNetscapeは頻繁に落ちた。1回の授業で2回はtelnetでプロセスを切っていた(この時は尊敬の目で見られるためいささか悪い気はしなかったが)。まあ5年前は至るところでマウスの矢印がCDに変わってずーっとクルクル回っていたので、それに比べたら十分安定性は高まっているのだろう。

6 TAをしてみて

 基本的に立ったまま部屋をちょこまかと動き回る仕事なので、普段研究室の椅子に座って作業している人にとっては少しは良い運動になるだろう。
 この「情報活用基礎」は、医学部保健学科では必修科目であり、全員が受講する。しかし、WindowsやLinuxを使いこなす強者もいれば、マウスも触ったことのない初心者もいる。前者にとっては単位のために出席する授業になり、後者にとってはひいひい言いながら一つ一つ勉強していく授業になる。
 授業を「初級コース」「中級コース」「上級コース」などに分け、それぞれ「キーボードの使い方からホームページの作成」「基本的なOSの使い方とワープロ・表計算」「UNIXの構造と簡単なプログラミング」というように自分でコースを選択する方式も一つの案だろう(学科によっては上級コースが2、3人になったりするかもしれないが)。
 いずれにせよ、パソコンを基本的に使いこなせないと、これからの時代についていけなくなるというのは目に見えている。この授業では、初めての生徒にいかにパソコンに対して好印象を持たせることができるか、ということがポイントになっていると思う。分からない質問には答え、なかなか聞き出せそうにしていない生徒に気軽に声を掛けて教えてあげるなど、パソコンに接しやすい環境を作れるようにTAも努力する必要がある。もちろん、「習うより慣れろ」の模範的教材でもあるので、1から10まで教えるのではなく、自分で考えさせる部分もいる。人間がパソコンに使わされるのではなく、人間がパソコンを使うのであるから。

サイバーメディアセンターは大変利用しやすい

中田 和久(大学院基礎工学部情報科学科 M1)

 サイバーメディアセンターは昔と比べて大変利用しやすくなったと思います。センターのPCのOSは現在Linuxを採用しており、昔使用していたNEXTSTEPと比較すると格段に使いやすいと思います。また、PCの性能およびネットワーク速度も格段に進歩しており、今利用できる方がうらやましくてなりません。ただ、センタのPCのOSにWindowsがないというのは少し残念なところであります。Linuxを使用していれば、Windowsも使いこなせるとよく聞きますが、Windowsの方が格段に利用しやすく、とっつきやすいため、初心者が比較的多く利用するサイバーメディアセンターにはぜひともWindowsを導入すべきだと思います。Windowsにすると予算が多く必要となると予想されますが、それに見合うだけのことはあると思います。