巻 頭 言

明日の教育


サイバーメディアセンター広報委員会委員長
小田中 紳二

 16世紀初め、宗教改革を提唱したルターの考え方は、その頃グーテンベルクによって発明された活版印刷術によって、瞬く間に、ヨーロッパ全土の人々へ広がっていき、それまでにない“開かれた情報社会”を到来させました。その後、活版印刷術による本の出版は飛躍的に増大し、聖書だけに限らず様々な情報を蓄積化し伝承していく新たな手段となり、幅広い人達が多様な教育を受けていくことを可能にしました。
 今日、教育によって学術情報を伝えていくためには、学術情報を体系化していくと共に、日々進展する先端研究を取り込んで、迅速に伝えていくことも必要になっています。また、学生諸君に対する教育だけでなく、大学内で蓄積した学術情報を社会へ向かって直接発信していくことも重要になっています。
 このような多様な教育を実践していくためにコンピュータやインターネットの利用に大きな期待が寄せられています。革新的な伝える手段があるとき、どのような教育方法が考えられるか、e-learningの潜在的可能性に対する期待感は日々増しています。それと同時に、教育によって伝える内容をデジタルコンテンツとしてどのように構成していくかも大きな関心事になってきています。
 本特集号では、e-learningに対する考え方や方向性、先端技術や学術、文化に関するアーカイブ化や教育用コンテンツの制作の取り組みとともに、本学の先端研究を伝えていく教育の取り組みや、社会に開かれた教育を支援する中乃島センターの取り組みについてもご紹介します。
 サイバーメディアセンターでは、マルチメディア・情報教育の拠点としてその活動状況をお知らせすると共に、広報活動を通して、このような意見や最新情報の交換の場が提供できればと思っています。皆様方の“明日の教育”活動にいささかなりとも貢献できれば幸いです。